IBM SPSS Statistics 28 最新バージョンリリース
統計解析のスタンダードツールとして、全世界、国内でも非常に多くのユーザーが利用する「IBM SPSS Statistics」米国時間の5月25日付で最新バージョンの「IBM SPSS Statistics 28」がリリースされました。今回は、最新バージョンのSPSS Statistics 28の内容についてご紹介をします。
最新バージョン28では、新たな統計処理(メタ・アナリシス)の導入に加え、前バージョンから加わった検定力分析の機能拡張 や新たなリレーションマップなどを含むデータの可視化などの既存の統計処理の強化、そして日常的な使い勝手を向上させるための機能面での強化も行われています。
統計解析ソフトウェア IBM SPSS Statisticsとは?
SPSS Statisticsは、統計解析ファミリーの中心的なソフトウェア。統計解析を行うことを前提に作られたIBM SPSS Statisticsは、すでに50年の歴史を持つ統計解析のソフトウェアです。最新のバージョンはIBM SPSS Statistics 28となり、多くの機能強化がなされています。
【対応OS】Windows/Macintosh
最新機能&注目のアップデート
- 【新しい統計手法の搭載】メタアナリシス(メタ分析)
- 【既存分析機能の機能拡張】検定力分析/比率分析/一般線形モデル他
- 【新機能:グラフ】関係マップの追加
- 【機能拡張】出力とシンタックスが統合。「ワークブック」
- 【機能拡張】表出力の編集がより便利に「ピボットテーブルエディター」
メタアナリシス(メタ分析)【新機能】
最新バージョン28では、ユーザーの皆様のご要望が多かったメタ分析(メタアナリシス)が追加されました。今回の追加では、以下の分析が可能になりました。
・連続値におけるメタアナリシス
・2値データにおけるメタアナリシス
・メタ回帰分析
メタアナリシスとは、複数の研究結果を総合し、結びつける科学的なプロセスのことで、統計的手法を使用して、効果を総合的に推定したり、研究の間の異質性を調べたり、最終的な結果に対する出版バイアス (より一般的には小規模研究の効果) の影響を調べたりします。
※当機能はSPSS Statistics Baseの機能です。
既存分析機能の機能拡張
- 検定力分析にグリッド形式でサンプルサイズとサンプルパワーを出力することが可能に
- 比率統計に価格関連バイアス(PRB)、変更変数(COV)が追加
- t検定に片側の有意確率を出力することが可能に
- GLMとUNIANOVAのための新しいグラフィカル・ユーザー・インターフェース・コントロールが設計されました。具体的には、EM平均のサブダイアログに 「単純な主効果の比較」というチェックボックスを追加し、他の要因と入れ子構造になった主効果間の比較の指定をサポートできるようになりました。
関連マップ機能の追加などデータ可視化機能が強化
関係マップが追加
SPSS Statistics 28の新しいデータ・ビジュアライゼーションとして導入されました(図1)。ユーザーは線の太さとカテゴリー表示の大きさによって、視覚的に複数の変数間の関係を確認できるようになりました。この機能は[グラフ]のドロップダウンメニューにあり、アクティブなデータセット内のデータを参照します。
出力とシンタックスが統合。「ワークブック」機能が登場
出力とシンタックスが統合「ワークブック」機能
出力とシンタックスが統合されたワークブック機能が追加されました。シンタックスの記述、出力の作成、そしてその出力の編集のすべてを、データ分析をするうえでインタラクティブな方法としてワークブック内で行うことが出来ます。
※オプションメニューから従来型のクラシックモードと新しいワークブックモードの切り替えが実行可能です。
表出力の編集がより便利に「ピボットテーブルエディター」
最新バージョンのテーブル編集では、より効率的なプロセスでテーブル上に希望の結果が出力できるようになりました。出力をダブルクリックすると、編集モードにサイドパネルが出現し、[書式]メニューの[セルのプロパティ]と[表のプロパティ]が表示されるようになりました。サイドパネルを使った編集はパネルの左側にあるテーブルに反映されます。この機能によって、少ないクリック数でテーブルを編集できるようになりました。
その他の機能拡張
- 検索機能の機能拡張:さらに細かいレベルでの検索や実行が可能に
- 参照カテゴリの指定の標準を最後から最初に
- ハイコントラスト表示に対応
- Word文章での出力が可能に
- テキスト出力のエンコード方式を追加
- 印刷プレビューでPDF出力のプレビューが表示可能に
- 図表ビルダーの機能拡張
- ケース選択機能の非表示行のコピーの操作性向上