重回帰分析とは?
― 複数の説明変数で目的変数を予測・要因分析

目的変数を複数の説明変数で予測・制御する代表的な多変量解析手法。各説明変数の影響の程度を明らかにし、現実の意思決定に直結する予測・要因分析を行えます。

難易度:★★☆ 想定読了:9分 最終更新 2026.05.17 監修:スマート・アナリティクス代表

重回帰分析とは

目的変数を複数の説明変数で予測・制御する代表的な多変量解析手法。各説明変数の影響の程度を明らかにし、現実の意思決定に直結する予測・要因分析を行えます。

重回帰分析で分かること

  • 各説明変数が目的変数に与える独立した影響
  • 予測モデルとしての当てはまり(R²、調整済みR²)
  • どの変数が相対的に重要か(標準化β)
  • 予測値と信頼区間

重回帰分析の主な種類

手法用途
強制投入法理論的に選んだすべての変数を投入
ステップワイズ法統計的基準で変数を選択
階層的回帰理論的優先度に基づき段階的に投入
最良サブセット選択AICなどの基準で最適変数組合せを探索

SPSSで重回帰分析を行うやり方(操作手順の概要)

重回帰分析は IBM SPSS Statistics Base の標準機能です。追加オプションを購入しなくても、メニュー操作だけで実行できます。代表的な流れは次のとおりです。

  1. ステップ1:データを準備する
    目的変数(売上金額など連続変数)と説明変数を1つのデータセットにそろえ、変数ビューで尺度(スケール/名義/順序)を正しく設定します。性別などのカテゴリ変数は、あらかじめ0/1のダミー変数に変換しておきます。
  2. ステップ2:メニューを開く
    メニューから [分析]→[回帰]→[線型] を選択します。
  3. ステップ3:変数を指定する
    目的変数を「従属変数」に、説明変数を「独立変数」に投入します。
  4. ステップ4:変数選択の方法を選ぶ
    「方法」で、理論的に選んだ変数をすべて投入する「強制投入法」か、統計的基準で取捨選択する「ステップワイズ法」を選びます。仮説が明確な研究では強制投入法が基本です。
  5. ステップ5:統計量を設定する
    「統計量」ボタンから「共線性の診断」(VIFの出力)と、必要に応じて「Durbin-Watson」(残差の独立性の確認)にチェックを入れます。
  6. ステップ6:残差の図を指定する
    「作図」ボタンで標準化残差のヒストグラムと正規P-Pプロットを指定し、前提条件の確認に備えます。
  7. ステップ7:実行して結果を確認する
    [OK]で実行し、「モデル要約」「分散分析」「係数」の3つの表を中心に結果を読み取ります(読み取り方は次のセクションで解説します)。

結果の読み取りポイント

SPSSの重回帰分析では多くの表が出力されますが、まず確認すべきは次の3つです。

出力表見る指標読み取り方
モデル要約R²・調整済みR²モデル全体で目的変数の変動を何%説明できているか。説明変数の数が多い場合は調整済みR²で評価・報告します。
分散分析(ANOVA)F値・有意確率回帰モデル全体が統計的に意味を持つかの検定です。有意確率が0.05未満であれば、モデル全体は有意と判断します。
係数B・標準化係数β・有意確率・VIFBは「説明変数が1単位増えたときの目的変数の変化量」、βは単位をそろえた影響度で、変数どうしの重要度比較に使います。VIFは多重共線性の確認に使います(10以上で要注意)。

このほか、標準化残差の正規P-Pプロットと散布図で「残差がおおむね正規分布し、特定のパターンを持たない」ことを確認すると、前提条件のチェックまで含めた報告ができます。論文・レポートでは、調整済みR²、F検定の結果、各係数のBとβ・95%信頼区間・有意確率を記載するのが一般的です。

研究・ビジネスでの利用シーン

売上要因の分析

マーケティング

広告費・価格・季節などの複数要因が売上に与える独立した影響を分析します。

リスク要因の特定

医療研究

年齢・性別・既往歴を調整した上で、特定要因の影響を分離します。

成果要因分析

人事評価

スキル・経験・教育などが業績に与える独立した影響を可視化します。

SPSSで実施する場合の製品選定

重回帰分析をSPSSで実施する際に必要となる製品とオプションを整理します。

やりたいこと対応製品備考
重回帰分析(連続目的変数)IBM SPSS Statistics Base標準機能・ステップワイズ可
ロジスティック回帰・非線型回帰IBM SPSS Regressionアドオン
順序ロジスティック回帰IBM SPSS Advanced Statistics順序尺度の目的変数
カテゴリ変数の回帰IBM SPSS Categories最適尺度法

分析時の注意点

  • 多重共線性を VIF(≥10で要注意)で確認する
  • 前提条件(線形性・独立性・正規性・等分散性)を確認
  • ステップワイズ法は p-hacking の批判があるため理論的根拠を優先
  • 因果関係の解釈には設計上の留意が必要

よくあるつまずきと対処のヒント

  • 係数の符号が想定と逆になる — 説明変数どうしの強い相関(多重共線性)が原因であることが多い症状です。VIFを確認し、高相関の変数の統合・削除を検討します。
  • カテゴリ変数をそのまま投入してしまう — 「1=営業、2=企画、3=製造」のようなコードをそのまま投入すると誤った結果になります。カテゴリ数より1つ少ない数のダミー変数(0/1)に変換してから投入します。
  • R²の低さだけで分析を打ち切る — 人の行動や意識を扱う調査データではR²が0.2〜0.3程度でも有用な知見になる場合があります。数値の絶対水準ではなく、目的(予測か要因分析か)に照らして評価します。
  • 外れ値の影響を見落とす — 少数の業端なケースが係数を大きく動かすことがあります。散布図やCookの距離などの診断統計量で、影響の大きいケースを確認します。
  • 「有意=因果関係」と解釈してしまう — 重回帰分析が示すのはあくまで関連です。因果の主張には、研究デザイン(時間的先行・交絡の統制など)の裏付けが必要です。

重回帰分析の進め方、専門家がサポートします

分析設計の段階から、結果解釈・論文記述まで——研究テーマに応じてご相談いただけます。
必要なSPSS製品の構成もあわせてご提案します。

お電話でのご相談:0120-835-761 受付 9:00–18:00(土日祝除く)

よくあるご質問

Q.ステップワイズ法は使ってよい?
近年では理論的根拠に基づく変数選択が推奨されます。ステップワイズは探索段階での補助として使い、結果は検証データで確認することが推奨されます。
Q.どれくらいの標本数が必要?
目安は説明変数1個あたり10〜20件以上です。説明変数が10個なら100〜200件が推奨されます。
Q.多重共線性が高い場合は?
高相関の変数を統合(合成変数化)、主成分回帰、Ridge回帰、Lasso回帰などを検討します。
Q.重回帰分析と相関分析はどう違いますか?
相関分析は2つの変数の間の関連の強さを1つの係数で表す手法です。重回帰分析は複数の説明変数を同時に扱い、他の変数の影響を調整した上で各変数の独立した影響を評価できる点が異なります。
Q.性別や職種などのカテゴリ変数を説明変数に使えますか?
ダミー変数(0/1)に変換すれば投入できます。3カテゴリ以上の場合は「カテゴリ数より1つ少ない数」のダミー変数を作成します。カテゴリ変数を多く扱う場合は、最適尺度法に対応したSPSS Categoriesも選択肢になります。
Q.R²(決定係数)はどのくらいあればよいですか?
分野によって目安は大きく異なり、絶対的な基準はありません。実験データでは高いR²が期待される一方、人の行動や意識を扱う調査データでは0.2〜0.3程度でも意味のある知見となる場合があります。報告には調整済みR²を用いるのが一般的です。
Q.SPSSのどの製品があれば重回帰分析ができますか?
IBM SPSS Statistics Baseの標準機能で実行でき、追加オプションは不要です。目的変数がカテゴリ型のロジスティック回帰に拡張する場合は、SPSS Regressionオプションが必要になります。
Q.結果はどの表から確認すればよいですか?
「モデル要約」(R²・調整済みR²)→「分散分析」(モデル全体の有意性)→「係数」(B・標準化係数β・有意確率・VIF)の順に確認するのが基本です。

お気軽にご相談ください0120-835-761受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]

問合せ・見積・注文をする お気軽にお問い合わせください