ロジスティック回帰分析とは?|二項・多項・順序とSPSS製品選定ガイド|スマート・アナリティクス
分析手法ガイド|回帰・予測モデル

ロジスティック回帰分析とは?
二項・多項・順序の使い分けと SPSS 製品選定

結果が「はい/いいえ」「発生/非発生」などのカテゴリ変数である場合に、 要因の影響と発生確率を推定する回帰分析手法。 医療研究・社会調査・マーケティング・品質管理など、幅広い分野で活用されます。

難易度:★★★ 想定読了:10分 最終更新 2026.05.10 監修:スマート・アナリティクス代表

1ロジスティック回帰分析とは

ロジスティック回帰分析は、目的変数がカテゴリ型(主に二値)の場合に、 説明変数が結果に与える影響を確率として推定する回帰分析です。 通常の最小二乗法に基づく回帰では扱えない「離散的な結果」を、ロジット関数を介して推定する点が特徴です。

医療研究(再発の有無、治療反応の有無)、社会調査(投票行動、選好)、 マーケティング(購入有無、解約予測)、品質管理(不良発生)など、 現実の意思決定に直結する分析として広く用いられています。

関連手法との位置付け: 二値結果+時間要素を含む場合は生存分析、 刺激と反応確率の関係を扱う場合はプロビット分析を検討します。

2ロジスティック回帰分析で分かること

  • 事象が発生する確率(予測確率)
  • 各要因(説明変数)が発生確率に与える影響の方向と大きさ
  • オッズ比による「○倍リスクが高い/低い」の定量化
  • 複数要因を同時に考慮した、調整済みの効果
論文・レポートでの記述例: 「年齢・性別を調整したロジスティック回帰分析の結果、要因 X は発症のオッズを 1.83 倍(95% CI: 1.12–2.97, p = 0.015)有意に高めることが示された。」

3ロジスティック回帰分析の主な種類

種類目的変数のスケール主な用途
二項ロジスティック回帰2値(はい/いいえ、発生/非発生)発症有無、購買有無、合否、解約有無など
多項ロジスティック回帰3カテゴリ以上・順序なし製品A/B/Cのどれを選ぶか、進路選択など
順序ロジスティック回帰3カテゴリ以上・順序あり満足度(高/中/低)、重症度(軽症/中等度/重症)

4研究・実務での利用シーン

医療研究

発症リスク要因の特定

疾患の発症有無を目的変数に、年齢・生活習慣・既往歴などを調整した分析で、オッズ比により独立したリスク要因を抽出します。

マーケティング

解約・離反の予測モデル

過去の利用ログを説明変数として、解約確率を予測。スコアリングして優先順にリテンション施策を打つ運用が可能です。

調査・選好分析

選択行動のモデル化

多項ロジスティック回帰で複数選択肢の選好を確率モデル化。属性ごとの選ばれやすさを比較できます。

5SPSSで実施する場合の製品選定

分析する目的変数のカテゴリ数によって、必要となる SPSS のオプションモジュールが異なります。 設計段階で「2値か多カテゴリか」を整理し、必要な製品をご確認ください。

分析内容対応製品備考
二項ロジスティック回帰SPSS Statistics Base + SPSS RegressionBase にRegressionの追加が必要。
多項ロジスティック回帰SPSS Statistics Base + SPSS Regression3カテゴリ以上の選択行動などに対応。
順序ロジスティック回帰SPSS Statistics Base + SPSS Regression順序尺度の目的変数を扱う場合。
反復測定/階層構造データSPSS Statistics Base + Advanced StatisticsGEE・線形混合モデルで拡張。

6分析時の注意点

  • 説明変数間の多重共線性を VIF などで確認する
  • サンプルサイズが十分かを EPV(イベント数/変数数)で評価する
  • オッズ比は「リスク比」とは異なる指標であることを踏まえて解釈する
  • 連続変数を投入する場合、線形性の仮定が成立するかを Box-Tidwell 法などで確認する
  • モデルの当てはまりは Hosmer–Lemeshow 検定、判別力は ROC 曲線・AUC で評価する

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7よくあるご質問

ロジスティック回帰分析と通常の回帰分析は何が違いますか?
通常の回帰分析は連続変数を目的変数に取りますが、ロジスティック回帰分析は「はい/いいえ」「発生/非発生」などのカテゴリ変数を目的変数に取ります。 ロジット関数を介した確率モデルで、発生確率と説明変数の関係を推定する点が特徴です。
オッズ比はどのように解釈すればよいですか?
オッズ比は説明変数が 1 単位増加したときに、事象が発生するオッズが何倍になるかを示します。 1 より大きければ発生確率を高める方向、1 より小さければ低める方向の影響であると解釈します。リスク比ではない点に注意します。
必要なサンプルサイズはどれくらいですか?
目安として、最も少ない結果カテゴリのケース数が説明変数 1 個あたり 10〜20 件以上(EPV)になるよう設計します。 サンプルが少ないと推定が不安定になる可能性があります。
二項・多項・順序ロジスティックはどう使い分けますか?
目的変数のスケールに応じて選択します。 2 カテゴリの場合は二項、3 カテゴリ以上で順序がない場合は多項、3 カテゴリ以上で順序がある場合は順序ロジスティック回帰を用います。
SPSS で実施する場合、どのオプションモジュールが必要ですか?
二項・多項・順序のいずれのロジスティック回帰も、SPSS Statistics Base に加えて SPSS Regression オプションが必要です。 Base には線形回帰までが含まれ、カテゴリ結果を扱うロジスティック回帰を実行するには Regression の追加が前提となります。反復測定や階層構造データを扱う場合は Advanced Statistics の追加もご検討ください。

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