回帰分析とは?量的研究での使い方・種類の選び方・結果の読み方
みなさん、こんにちは。スマート・アナリティクスの畠です。 「ある要因は、研究で注目している結果とどの程度関連しているのか」「複数の要因を同時に考慮したとき、どの変数がアウトカムと関連しているのか」——こうした問いを、データにもとづいて検討するために使われる代表的な手法が回帰分析です。回帰分析とは、結果となる変数(目的変数・従属変数)を、要因となる変数(説明変数・独立変数)との関係式で説明・予測する統計手法の総称です。論文や研究報告で最もよく使われる分析のひとつですが、「単回帰と重回帰はどう違うの?」「ロジスティック回帰っていつ使うの?」「決定係数R²はどう読めばいいの?」と、種類の多さと用語でつまずく方がとても多い分野でもあります。このページでは、回帰分析の基本の考え方から、種類ごとの違いと選び方、結果の読み方、量的研究での使い方やSPSSでの実行の流れまでを、量的研究の初心者の方にもわかりやすく順番に解説します。回帰分析ファミリーの全体地図として、必要なページへ進める入口にもなっていますので、ぜひブックマークしてご活用ください。
- 回帰分析は「結果(目的変数)」を「要因(説明変数)」との関係式で予測・説明する統計手法の総称
- 相関分析が「関係の強さ」を測るのに対し、回帰分析は関係を「式」にして予測に使えるのが違い
- 説明変数が1つなら単回帰分析、複数なら重回帰分析。結果が合格/不合格のような2値ならロジスティック回帰
- 回帰係数は「説明変数が1増えると目的変数がどれだけ変わるか」、決定係数R²は「式で説明できる割合」
- 回帰分析が示すのは関係であって、それだけでは因果関係の証明にはならない
- SPSSでは「分析」→「回帰」メニューから線型回帰・ロジスティック回帰などを実行できる
回帰分析とは何か——「関連の検討」と「予測」のための手法
回帰分析とは、結果となる変数を、要因となる変数との関係式で説明・予測する統計手法の総称です。説明・予測したい側の変数を目的変数(従属変数・アウトカム)、その要因になる側の変数を説明変数(独立変数)と呼びます。
たとえば、次のような研究場面を考えてみましょう。
- 看護研究で、年齢・疾患重症度・家族サポートが QOLスコア とどの程度関連するかを検討したい
- 教育研究で、学習方略・自己効力感・授業参加度が 学業成績 とどの程度関連するかを調べたい
- 心理学研究で、ストレス得点やソーシャルサポート得点が 抑うつ得点 をどの程度説明するかを検討したい
- 医療・公衆衛生研究で、患者背景や検査値から 再入院の有無(2値のアウトカム)を予測したい
どの例にも共通するのは、「研究で注目している結果変数(アウトカム)に対して、どの要因が、どの程度関連しているのかを検討したい」という形になっていることです。回帰分析は、こうした研究上の問いを、目的変数と説明変数の関係としてモデル化する手法です。自分の研究テーマを「どの要因が、どの結果と、どの程度関連するか」という文に直せたら、回帰分析の出番だと考えてよいでしょう。
ここで、「それって相関分析と同じでは?」と思った方もいるかもしれません。よい疑問です。相関分析は、2つの変数の間に「どれくらい強い関係があるか」を相関係数という1つの数値で表す手法です。一方、回帰分析は関係の強さを測るだけでなく、関係そのものを式(モデル)にするところまで進みます。式になっているからこそ、「勉強時間が1時間増えたら点数は何点くらい上がりそうか」「勉強時間が10時間の人の点数はどれくらいか」という具体的な予測ができるのです。
私はこの違いを、よく「相関分析は2つの変数の関係の強さを測る健康診断、回帰分析は関係を式にして使えるようにする道具づくり」と説明しています。関係があるかをまず確かめ、その関係を使って予測や説明をしたくなったら回帰分析へ進む、という順番で考えるとわかりやすいと思います。
回帰分析は1つの手法の名前ではなく、「目的変数を説明変数で予測・説明する手法ファミリー」の総称です。単回帰・重回帰・ロジスティック回帰は、すべてこのファミリーのメンバー。だからこそ「どれを使えばいいの?」という選び方が大切になります(このページの第4章でくわしく扱います)。
量的研究で回帰分析を使うときの考え方
量的研究では、回帰分析を「とりあえず予測するための手法」としてではなく、研究仮説をデータで検討するためのモデルとして使います。まず、研究上もっとも説明したい変数を目的変数(アウトカム)として定めます。次に、先行研究や理論にもとづいて、主要な説明変数と、調整すべき共変量を整理します。
たとえば、運動習慣と血圧の関連を検討する研究では、運動習慣が主要な説明変数、血圧が目的変数になります。ただし、年齢やBMIも血圧と関連するため、これらを共変量としてモデルに含めることで、運動習慣と血圧の関連をより慎重に検討できます。
このように、回帰分析では「どの変数を入れるか」そのものが研究上の判断です。統計ソフトに変数を入れる前に、研究仮説・先行研究・変数の役割(主要な説明変数なのか、調整すべき共変量なのか)を整理しておくことが大切です。
回帰分析の仕組み——散布図と回帰直線・最小二乗法
回帰分析の仕組みは、いちばん基本の形である「説明変数1つ・直線の式」で考えるとよくわかります。
たとえば、あるクラスの20人について「1週間の勉強時間」と「テストの点数」を調べ、横軸に勉強時間、縦軸に点数をとって散布図を描いたとします。点がおおまかに右上がりに並んでいたら、「勉強時間が長い人ほど点数が高い」傾向がありそうですよね。
回帰分析は、この点の集まりのいちばん「まんなか」を通る直線を1本引きます。この直線を回帰直線と呼び、式で書くと次のようになります。
(y:目的変数=テストの点数、x:説明変数=勉強時間、a:切片、b:回帰係数)
では、「いちばんまんなかを通る直線」はどうやって決めるのでしょうか。ここで使われるのが最小二乗法という考え方です。それぞれの点と直線との縦方向のずれ(これを残差と呼びます)を2乗して全部足し合わせ、その合計が最も小さくなるように直線の傾きと切片を決めます。ずれを2乗するのは、プラスのずれとマイナスのずれが打ち消し合わないようにするためです。
こうして引かれた直線の式が手に入ると、たとえば「勉強時間が10時間の人の点数は、だいたいこのくらい」という予測ができます。もちろん、すべての点が直線の上に乗るわけではありません。直線はあくまで「全体の傾向」を表すもので、一人ひとりの点数は直線の上下にばらつきます。このばらつきの大きさを把握する指標が、次の章で説明する決定係数R²です。
回帰直線は「予言の直線」ではなく「傾向のまとめ役」です。直線から外れる点があるのは当たり前で、外れ具合(残差)も含めて読むのが回帰分析の正しい使い方です。
結果の読み方——回帰係数と決定係数R²
回帰分析の出力で必ず確認するのが、回帰係数と決定係数R²の2つです。
回帰係数b——「1増えると、どれだけ変わるか」
回帰係数とは、説明変数が1単位増えたときに、目的変数が平均してどれだけ変化するかを表す値です。たとえば、勉強時間からテストの点数を予測する回帰式が「点数 = 40 + 3 × 勉強時間」だったとしましょう。回帰係数は3ですから、「勉強時間が1時間増えると、点数は平均して3点くらい高い傾向がある」と読めます。切片の40は、「勉強時間が0時間のときの予測値」です(ただし、データの範囲の外にある場合は、形式的な値として扱います)。
回帰係数にはp値(有意確率)も一緒に出力されます。p値が有意水準(多くの場合5%)を下回っていれば、「この説明変数と目的変数の関係は、偶然のばらつきだけでは説明しにくい」と判断します。係数の大きさと有意性は別の情報なので、セットで確認しましょう。
決定係数R²——「式でどれだけ説明できているか」
決定係数R²とは、目的変数のばらつきのうち、回帰式によって説明できる割合を表す指標です。0から1の間の値をとり、たとえばR² = 0.45なら「テストの点数のばらつきの約45%は、勉強時間で説明できる」というイメージです。残りの55%は、勉強時間以外の要因(睡眠、体調、得意不得意など)や偶然のばらつきということになります。
初学者の方から「R²はいくつ以上ならよいのですか?」とよく聞かれます。実は、絶対の基準はありません。物理実験のように誤差の小さいデータではR²が0.9を超えることもありますが、人の行動やアンケートを扱う研究では、R²が0.2〜0.3でも十分に意味のある発見とされることがあります。大切なのは、数値の大小だけで一喜一憂せず、研究の文脈の中で解釈することです。
| 指標 | 何を表すか | 読み方のポイント |
|---|---|---|
| 回帰係数 b | 説明変数が1増えたときの目的変数の平均的な変化量 | 符号(プラスかマイナスか)と大きさ、p値をセットで見る |
| 切片 a | 説明変数が0のときの予測値 | データ範囲の外なら形式的な値として扱う |
| 決定係数 R² | 目的変数のばらつきのうち式で説明できる割合(0〜1) | 絶対の基準はない。分野・データの性質に応じて解釈する |
| p値 | 係数が偶然の範囲か、意味のある関係かの判断材料 | 有意水準(5%など)と比較。係数の大きさとは別の情報 |
回帰係数は「関係の向きと大きさ」、決定係数R²は「式全体の当てはまりのよさ」。役割の違う2つの指標を両方確認するのが、結果の読み方の基本です。
回帰分析の種類と選び方——単回帰・重回帰・ロジスティック回帰
ここからが、このページのいちばん大事なところです。回帰分析にはいくつもの種類がありますが、初学者の方が押さえるべきなのは次の3つです。選び方の基準はシンプルで、「説明変数はいくつか」と「目的変数はどんな種類のデータか」の2つだけです。
単回帰分析——1つの要因で予測する
単回帰分析とは、1つの説明変数と1つの目的変数の関係を直線の式で表す、最も基本の回帰分析です。第2章で説明した「勉強時間からテストの点数を予測する」例が、まさに単回帰分析でした。仕組みがシンプルで散布図と一緒に理解しやすいため、回帰分析の学習はここから始めるのがおすすめです。
ただし、現実のデータで「結果に影響する要因が1つだけ」ということは、ほとんどありません。テストの点数には、勉強時間のほかに睡眠時間や授業の出席率も関わっていそうですよね。そこで登場するのが重回帰分析です。
重回帰分析——複数の要因をまとめて扱う
重回帰分析とは、複数の説明変数を組み合わせて1つの目的変数を予測・説明する回帰分析です。式の形は単回帰の自然な拡張で、説明変数の数だけ項が増えます。
重回帰分析の大きな魅力は、各説明変数の係数(偏回帰係数と呼びます)が「ほかの変数の影響を一定にしたうえでの、その変数だけの効果」を表すことです。たとえばb1が2.5なら、「睡眠時間と出席率が同じ人どうしで比べたとき、勉強時間が1時間長い人は点数が平均2.5点高い傾向がある」と読めます。複数の要因が絡み合う現実のデータを整理して見られるのが、重回帰分析の強みです。
重回帰分析が研究でよく使われる最大の理由は、複数の要因を同時にモデルに入れることで、ある変数とアウトカムとの関連を、他の変数を調整したうえで(共変量を一定にして)検討できる点にあります。たとえば運動習慣と血圧の関連を調べる場合、年齢やBMIの影響を考慮せずに見ると、運動習慣そのものの関連を過大または過小に評価してしまう可能性があります。年齢やBMIを共変量としてモデルに含めることで、「それらを一定にしたときの運動習慣と血圧の関連(調整済みの関連)」を検討できます。これが、観察研究で交絡要因の影響を整理するための基本的な考え方です。
一方で、説明変数どうしの相関が強すぎると係数の推定が不安定になる多重共線性という問題や、「説明変数を何個まで入れてよいか(サンプルサイズとのバランス)」といった、重回帰ならではの注意点もあります。
ロジスティック回帰——結果が「2値」のときの回帰
ロジスティック回帰とは、再入院の有無・疾患の有無・介入継続の有無のように、結果が2値で表されるアウトカムが起こる確率を予測する回帰分析です。たとえば「年齢・既往歴・入院時の重症度・退院支援の有無から、30日以内の再入院が起こる確率を検討したい」とき、再入院あり=1、なし=0という2値の目的変数を、ふつうの直線の式で予測しようとすると、予測値が0より小さくなったり1を超えたりして、確率として解釈できなくなってしまいます。
ロジスティック回帰は、S字型のカーブ(ロジスティック曲線)を使って、予測値が必ず0から1の間(=確率)に収まるように工夫した回帰分析です。結果はオッズ比という指標で読み取ることが多く、「勉強時間が1時間増えると、合格のオッズが1.4倍になる」のような解釈をします。3つ以上のカテゴリを扱う多項ロジスティック回帰、順序のあるカテゴリを扱う順序ロジスティック回帰という発展形もあります。
3つの回帰の比較と、次に進むページ
| 手法 | 目的変数 | 説明変数 | 例 |
|---|---|---|---|
| 単回帰分析 | 数値(量的データ) | 1つ | 勉強時間 → テストの点数 |
| 重回帰分析 | 数値(量的データ) | 2つ以上 | 勉強・睡眠・出席率 → テストの点数 |
| ロジスティック回帰 | 2値(合格/不合格など) | 1つ以上 | 勉強時間 → 合格するかどうか |
それぞれの手法をSPSSで実施するときの製品選定ややり方は、手法別の個別ページでくわしく整理しています。「学ぶ」の次の一歩としてご活用ください。
なお、回帰分析ファミリーにはこのほかにも、回数や件数のデータを扱うポアソン回帰、曲線的な関係を扱う非線型回帰、学校・クラスのような階層構造を考慮するマルチレベルモデルなどがあります。初学者のうちは「そういう発展形もある」と知っておくだけで十分です。まずは上の3つをしっかり使い分けられることを目指しましょう。
回帰分析の選び方は「目的変数の種類」が先、「説明変数の数」が後。この順番で考えれば、単回帰・重回帰・ロジスティック回帰のどれを使うべきかは自然に決まります。
回帰分析の前提条件と、やってはいけないこと
回帰分析(特に単回帰・重回帰などの線型回帰)には、結果を正しく解釈するための前提条件があります。代表的なものを確認しておきましょう。
- 線型性:説明変数と目的変数の関係が、おおむね直線的であること。散布図で曲線的な関係が見えたら、変数の変換や非線型回帰を検討します。
- 残差の正規性:残差(予測値と実測値のずれ)が正規分布に近いこと。分布の形については正規分布のガイドもご覧ください。
- 残差の等分散性:説明変数の値によらず、残差のばらつきがほぼ一定であること。
- 独立性:各データが互いに独立していること。同じ人の繰り返し測定などは、別の手法(マルチレベルモデルなど)の検討対象です。
- 外れ値の確認:1つの極端な値が回帰直線を大きく引っ張ることがあります。散布図で必ず確認しましょう。
あわせて、回帰分析で「やってはいけないこと」も2つ、ここでお伝えしておきます。
1つめは外挿です。回帰式が信頼できるのは、手元のデータが存在する範囲の中だけです。勉強時間1〜15時間のデータから作った式に「勉強時間50時間」を入れて予測しても、その値に根拠はありません。
2つめは、回帰分析の結果だけで因果関係を断定することです。回帰係数が有意でも、それは「関係がある」ことを示すだけで、「xがyの原因である」ことの証明にはなりません。逆向きの因果(点数がよいから勉強が楽しくなり、勉強時間が増える)や、第三の変数(学習意欲が勉強時間と点数の両方を高めている)の可能性は、回帰分析だけでは排除できないのです。因果に踏み込むには、研究デザイン(実験計画や時間的な前後関係)の裏づけが必要です。
「学習時間は成績と有意な正の関連を示した」は適切です。一方で「学習時間を増やせば成績が上がることが証明された」と書くのは、観察研究の回帰分析だけからは言い過ぎです。因果に踏み込む場合は、研究デザイン・時間的な前後関係・交絡要因の調整状況をあわせて説明する必要があります。
SPSSでの実行の流れ
ここでは、SPSSで回帰分析を行う基本的な流れを紹介します。本ページは考え方の解説が主役なので全体像にとどめ、実際の画面操作は「SPSSの使い方」シリーズと手法別ページに譲ります。
- 単回帰・重回帰:メニューの「分析」→「回帰」→「線型」を選び、従属変数(目的変数)と独立変数(説明変数)を指定して実行します。出力では「モデルの要約」で決定係数R²を、「係数」表で各説明変数の回帰係数とp値を確認します。
- ロジスティック回帰:「分析」→「回帰」→「二項ロジスティック」を選び、2値の従属変数と共変量を指定します。出力ではオッズ比(Exp(B))とモデルの適合度を確認します。
- 事前の確認:分析の前に、散布図(「グラフ」メニュー)で関係の形と外れ値を必ず見ておきましょう。
なお、線型回帰はSPSS Statisticsの基本パッケージ(Base)で実行できます。ロジスティック回帰にはRegressionモジュールが必要になるなど、手法によって必要な製品構成が変わります。製品選定の観点は重回帰分析の製品選定ページとロジスティック回帰のページで整理しています。
関連分析手法・SPSS実装ガイド
回帰分析と関連の深い分析手法・SPSSでの具体的な実装ページを以下にまとめます。研究設計や論文執筆の参考にあわせてご活用ください。
- 相関分析とは? — 回帰分析の前提となる「2変数の関係の強さ」の理解。回帰に進む前にぜひ。
- 標準偏差と分散とは? — 残差や決定係数を支える「ばらつき」そのものの解説です。
- 正規分布とは? — 前提条件「残差の正規性」を分布の形から理解できます。
- 分散分析(ANOVA)とは? — グループ間の平均差を調べる手法。回帰分析と同じ「一般線型モデル」の仲間です。
- 重回帰分析とは? — 偏回帰係数・決定係数・多重共線性をくわしく解説します。
- ロジスティック回帰とは? — オッズ比・予測確率の読み方をくわしく解説します。
- 重回帰分析に使うSPSS製品の選び方 — 重回帰分析の進め方と必要な製品・モジュールを整理しています。
- ロジスティック回帰のやり方とSPSS製品選定 — 二項・多項・順序の使い分けとSPSSでの操作手順。
- SPSSとは?研究・実務で使われる統計解析ソフトをやさしく解説 — 製品の全体像・価格・購入方法。
- SPSSの使い方シリーズ(全10回) — 起動・データ準備・分析・出力結果の解釈まで体系的に学べます。
つまずきやすいポイントと注意点
回帰分析でつまずきやすいポイントを、ここで整理しておきます。
1. 相関分析と回帰分析を混同する。相関分析は2つの変数の関係の強さを対等な立場で測ります。回帰分析は「どちらが目的変数か」を決めて、予測・説明の式を作ります。「関係があるか知りたい」だけなら相関分析、「予測や要因の整理までしたい」なら回帰分析、と目的で使い分けましょう。
2. R²が低い=失敗、と思い込む。決定係数に絶対の合格ラインはありません。人を対象にした研究ではR²が小さくなるのがふつうです。R²の値そのものより、「どの説明変数が、どの向きに、どれくらい効いているか」のほうが大事な発見であることも多いのです。
3. データの範囲の外で予測する(外挿)。回帰式はデータが存在する範囲の中でだけ信頼できます。範囲外の予測値をレポートの結論に使うのは避けましょう。
4. 回帰の結果から因果関係を断定する。有意な係数は「関連の証拠」であって「因果の証明」ではありません。逆の因果や第三の変数の可能性に触れたうえで、慎重に考察するのが誠実な書き方です。
5. 2値の結果に線型回帰を使ってしまう。合格/不合格のような目的変数に「分析」→「回帰」→「線型」を使うと、確率として解釈できない予測値が出てしまいます。2値の結果にはロジスティック回帰を使いましょう。
6. 説明変数を研究仮説から決めず、手当たり次第に入れてしまう。回帰分析では、説明変数をただ多く入れればよいわけではありません。研究仮説・先行研究・理論的背景にもとづいて、主要な説明変数と調整すべき共変量を区別してモデルに含めることが大切です。有意になった変数だけを事後的に強調すると、探索的な結果を仮説検証のように見せてしまう危険があります。あわせて、多重共線性の確認、標準化係数と非標準化係数の使い分け、欠損値の扱いの明記も忘れないようにしましょう。

