IBM SPSS Statistics 29.0.1 新機能

統計解析ソフトウェアIBM SPSS Statisticsの最新バージョン「IBM SPSS Statistics 29.0.1」では、データエディタウィンドウにデータの概要表示、生存分析にパラメトリック共有フレイルティモデル、記述統計として指定した特定のパーセンタイルの出力機能が加わりました。また、ROC曲線ではカットオフ値を決めるヨーデン指標(Youden‘s Index )の出力、回帰分析ではAICなどモデル選択の基準値の出力、混合モデルではランダム効果の予測値などをエクスポートする機能強化が行われています。 また、Mac OS Ventura 13.0に対応しています。

新機能1

データオーバービュー:概要タブ

データエディタウィンドウにデータの概要を表示する概要タブが追加されました。

概要タブでは、ファイル内のデータの特性に関する情報として、変数のタイプ、測定の尺度、欠損データの要約が表示されます。また、測定の尺度に基づく適切なグラフと要約統計量も表示されます。各エリアの  をクリックすると関連する変数ビューやダイアログが表示され手続きを進めることができます。

新機能2

パラメトリック共有フレイルティモデル 

生存分析メニュー(Advanced Statistics)にパラメトリック共有フレイルティモデルが追加されました。

パラメトリック共有フレイルティモデルは、生存分析において、複数の個体が同じフレイルティを共有する可能性がある場合に用いられる統計モデルです。

フレイルティとは、個体の生命力の低下や健康状態の悪化など、生存時間に影響を与える要因を表すパラメーターです。パラメトリック共有フレイルティモデルでは、フレイルティを個体に固有のものとグループに共通のものに分解し、グループに共通のフレイルティによって生存時間に影響を与えることを仮定します。

新機能3
パーセンタイル

これまでパーセンタイルの出力は固定(25,50,75など)のパーセンタイル値のみとなっていましたが、必要なパーセンタイル値を指定できるインターフェースが追加されました。欠損値の扱いやパーセンタイルの計算も5つの方法から選択できます。

記述統計メニューにパーセンタイルメニューが追加され、直接パーセンタイルのみを出力することもできます。また、これまで通りに記述統計メニューの探索的メニューの統計量からも拡張したパーセンタイル機能を利用することができます。

新機能4

回帰分析の出力機能拡張:モデル選択の基準値

これまでシンタックスコマンドで対応していた回帰モデルの選択指標( 赤池情報量基準 (AIC)、雨宮の予測基準 (PC)、予測基準の条件付き平均平方誤差 (CP)、Schwarz Bayesian 基準 (SBC) を含む)の出力がダイアログボックスから選択できるようになりました。

また、モデルの検証や選択基準に使用できる予測残差平方和 ( PRESS ) も出力できるようになりました。

新機能5

ROC曲線の出力機能拡張:ヨーデン指標の出力

ROC曲線メニューとROC分析メニューの出力にヨーデン指標が選択できるようになりました。ヨーデン指標とは、分類モデルの性能を評価する指標の一つで、真陽性率(TPR)と偽陽性率(FPR)の差を測定します。TPRは、本当に陽性のデータがどれだけ正しく陽性と分類されたかを示し、FPRは実際には陰性であるのに陽性と分類されたデータの割合を示します。ヨーデン指標は、このTPRとFPRの差を考慮して、モデルの分類性能を測定します。ヨーデン指標が大きいほど、分類モデルの性能が高くなります

その他のSPSS Statistics 29.0.1機能

時間依存のCox回帰機能拡張
時間依存の共変量を複数設定

生存分析メニュー(Advanced Statistics) のCox 回帰モデルでハザード比が時間の経過と共に変化し、共変量のいずれかの値が時点によって異なる場合、時間依存の Cox 回帰モデルを使用する必要があります。これまでこのモデルでは、 時間依存の共変量を1つしか指定できませんでしが複数指定できるようになりました。

混合モデル機能拡張
予測データのエクスポート

混合モデル(Advanced Statistics)を推定する際にランダム効果予測 (EBLUP) をデータセットまたはファイルにエクスポートすることができるようになりました。

この機能は、線型混合モデルおよび一般化線型混合モデルが対象です。

混合モデル機能拡張
予測データのエクスポート

混合モデル(Advanced Statistics)を推定する際にランダム効果予測 (EBLUP) をデータセットまたはファイルにエクスポートすることができるようになりました。この機能は、線型混合モデルおよび一般化線型混合モデルが対象です。

ピボットテーブルの機能拡張
クイック編集

出力変更の機能強化により、出力ウィンドウに表示されたピボットテーブル上で右クリックすると [出力の変更] ショートカットが提供され、行と列を入れ換え、列の非表示、列の並び替え、列内のセルの強調表示などの一般的な機能にすばやくアクセスできるようになりました。

検索機能の強化

ヘルプメニューにある検索ダイアログの機能が強化され 変数の検索、IBM SPSS コミュニティの検索、IBM SPSS YouTube チャンネルの検索などが含まれるようになりました。

その他の機能拡張

IBM SPSS Statisticsへようこそから一度に複数のサンプルファイルを選択して開くことができるようになりました。シンタックスコマンドを使用して一度に複数のファイルを閉じることができるようになりました。