統計学超入門⑨|次に学ぶべき統計分析への道筋と学習ロードマップ
ここまで来たあなたは、もう初心者ではない
まず最初に、はっきり言っておきます。
第1回から第8回までを通してここまで来た皆さんは、
もはや「統計がまったく分からない人」ではありません。
あなたはすでに、
- データを要約する意味を知り
- 分布を見る重要性を理解し
- 相関と因果を区別し
- 仮説検証という考え方を身につけ
- 検定結果を冷静に解釈できる
ところまで来ています。
これは、統計を「道具として使うための最低条件」を満たしている状態です。
2. 統計分析は「目的から逆算する」
ここから先、最も大切になる考え方があります。
統計分析は、手法から選ばない
ということです。
「t検定を使いたい」
「回帰分析をやりたい」
ではなく、
何を知りたいのか?
何を判断したいのか?
から逆算します。
3. 目的別:次に進む統計分析の地図
ここでは、超入門を終えたあとに
どこへ進めばよいかを整理します。
① 平均や割合に「差があるか」を知りたい
例:
- A群とB群で平均に差はあるか
- 施策前後で変化はあったか
▶ 次に学ぶ分析
- t検定
- 分散分析(ANOVA)
第7・8回の仮説検証の考え方が、そのまま使われます。
② 変数どうしの「関係の強さ」を知りたい
例:
- 満足度と再購入意向の関係
- 勉強時間と成績の関係
▶ 次に学ぶ分析
- 相関分析
- 単回帰分析
第6回で学んだ「関係性を見る」という発想の延長です。
③ 複数の要因を同時に考えたい
例:
- 売上に影響する要因を整理したい
- どの変数が本当に効いているのか知りたい
▶ 次に学ぶ分析
- 重回帰分析
- ロジスティック回帰分析
ここでは、
- 要約
- 分布
- 相関
- 仮説
すべてが統合されます。
④ 見えない構造・概念を扱いたい
例:
- 意識・態度・満足度といった概念
- 複数項目からなる尺度
▶ 次に学ぶ分析
- 因子分析
- 信頼性分析
第3〜5回の「データをどう整理するか」という視点が活きてきます。
⑤ 因果関係をモデルとして検討したい
例:
- AがBを通じてCに影響するか
- 直接効果と間接効果を分けて考えたい
▶ 次に学ぶ分析
- パス解析
- 構造方程式モデリング(SEM)
ここは、仮説を明示的にモデル化する世界です。
4. 統計学習で「迷わなくなる」判断軸
統計で迷う人の多くは、
- 何をやっているのか分からない
- なぜその分析をするのか分からない
という状態に陥っています。
その原因は一つです。
問いが言語化されていない
超入門で身につけたのは、次の問いを立てる力です。
- このデータは何を要約すべきか
- 分布はどうなっているか
- どんな関係を疑っているのか
- それは偶然と言えるのか
この問いを立てられる限り、統計で完全に迷子になることはありません。
5. 統計は「正解を出す学問」ではない
最後に、最も大切なことを伝えます。
統計は、
- 正しい答えを保証する
- 判断を代行してくれる
ものではありません。
統計の役割は、
不確実な世界で、
よりマシな判断をするための
思考の補助線を引くこと
です。
だからこそ、
- 統計的に有意でも慎重になる
- 有意でなくても考察を続ける
という態度が、研究でもビジネスでも求められます。
6. 統計学超入門・全体の振り返り
ここで、全9回を一望してみましょう。
- 統計とは「世界の見方」である
- 記述と推測という2つの役割
- データを要約するという発想
- 平均とばらつきの意味
- 分布を目で見る重要性
- 関係性としての相関
- 仮説を検証するという姿勢
- 検定結果との正しい距離感
- 次に進むための道筋
これは、統計手法のリストではなく、思考の成長プロセスです。
7. この先へ進むあなたへ
もし今、
- 「統計が少し面白くなってきた」
- 「次は何を学べばいいか見えてきた」
と感じているなら、とてもうれしいことです。
統計は、怖いものでも、魔法でもありません。
問いを立て、データと対話するための静かで強力な言語です。
ここから先は、あなたの問いに応じて、必要な分析を一つずつ選んでいきましょう。
第9回のまとめ(最終回)
- 統計分析は目的から選ぶ
- 超入門で「選ぶ力」は身についている
- 次に進む道は一つではない
- 統計は判断を支えるための思考技術
これで「統計学超入門」全9回は完結です。
ここまで到達した皆様、お疲れ様でした。またありがとうございました。

