分析手法 完全ガイド

データマイニングとは?手法と分析の流れをやさしく解説

読了の目安約12分 難易度はじめての方OK 最終更新2026.07.02

みなさん、こんにちは。スマート・アナリティクスの畠です。 オンライン書店で「この商品を買った人は、こんな商品も買っています」というおすすめが出てきた経験はありませんか? あの裏側では、膨大な購買履歴の中から「一緒に買われやすい組み合わせ」が自動的に見つけ出されています。こうした「データの中に眠っている規則性」を、人の勘ではなくコンピュータの力で系統的に見つけ出すのがデータマイニングです。データマイニングとは、大量のデータから役に立つ規則性やパターンを見つけ出す分析の総称のこと。マイニング(採掘)という名前のとおり、データという鉱山から価値ある発見を掘り出すイメージです。このページでは、仮説を立ててから確かめる伝統的な統計学との考え方の違い、決定木・クラスタリング・アソシエーション分析といった代表的な手法、機械学習との関係、気をつけたい「過学習」、そして業界標準プロセス「CRISP-DM」と分析の流れ4ステップまで、初学者の方にもわかりやすく順番に解説します。

畠 慎一郎
畠 慎一郎 スマート・アナリティクス株式会社 代表取締役 統計解析ソフトの提供と分析のサポートを通じて、研究や学習でデータ分析につまずく場面をたくさん見てきました。このガイドでも、わかりにくいところをやさしく解説していきます。
このページの要点
  • データマイニングは、大量のデータから役に立つ規則性やパターンを見つけ出す分析の総称
  • 仮説を立ててから確かめる「仮説検証型」の統計に対し、データマイニングはデータから規則性を探す「探索型」
  • 代表的な手法は、分類(決定木)・クラスタリング・関連の発見(アソシエーション分析)・予測の4タスクで整理できる
  • 機械学習はデータマイニングを支える技術。両者は重なり合う関係にある
  • 手元のデータに合わせすぎて新しいデータで当たらなくなる「過学習」に注意。訓練データと検証データを分けて確かめる
  • 進め方は「目的の整理 → データの準備 → モデルの作成 → 評価と解釈」の4ステップ

データマイニングとは何か

データマイニングとは、大量のデータから、役に立つ規則性やパターンを見つけ出す分析の総称です。マイニング(mining)は「採掘」という意味で、データという鉱山から、人の目では気づけない価値ある発見を掘り出すことにたとえられています。

たとえば、次のような場面を想像してみてください。

  • オンライン書店の購買履歴から、「一緒に買われやすい商品の組み合わせ」を見つける
  • 大学の履修データから、「一緒に履修されやすい科目のパターン」を見つける
  • 数千人分の学内アンケートから、回答の傾向が似ている学生のグループを見つける
  • 過去の学習記録から、どんな学び方の学生が資格試験に合格しやすいかの規則を見つける

どの例も、「最初に仮説があった」わけではないことに注目してください。データの中から、規則性のほうを探しに行くのがデータマイニングの発想です。データの量が増えるほど人の目で全体を見渡すことは難しくなりますから、コンピュータの力で系統的にパターンを探す技術の価値が大きくなります。

なお、対象が文章データの場合のデータマイニングは、テキストマイニングという分野として発展しています。このページでは、表形式の(数値やカテゴリの)データを中心に話を進めます。

ここがポイント
データマイニングは1つの手法の名前ではなく、「データからパターンを探す取り組み」の総称です。その中に、決定木・クラスタリング・アソシエーション分析といった個別の手法が含まれます。

仮説検証型の統計と、探索型のデータマイニング

「それって、ふつうの統計学と何が違うのですか?」——これは本当によくいただく質問です。違いの核心は、仮説とデータ、どちらが先かにあります。

伝統的な統計学の進め方は「仮説検証型」です。たとえば「勉強時間が長い学生ほどテストの点数が高いのではないか」という仮説を先に立て、それを確かめるためにデータを集め、t検定や回帰分析で仮説が支持されるかを判定します。理科の実験と同じで、問いが先、データが後です。

一方、データマイニングは「探索型」です。手元にすでにある大量のデータを出発点に、「何かおもしろい規則性はないか」をコンピュータに探させます。データが先、発見が後。この順序の違いが、使う手法や結果の扱い方の違いにつながります。

仮説検証型(伝統的な統計)探索型(データマイニング)
出発点先に仮説を立てる先にデータがある
問いの形「この仮説は正しいか?」「何か規則性はないか?」
代表的な道具t検定・分散分析・回帰分析など決定木・クラスタリング・アソシエーション分析など
データの量必要十分な標本を設計して集めるすでにある大量のデータを活用することが多い
結果の位置づけ仮説の支持・不支持の判断新しい仮説・発見の候補(別途の確認が望ましい)

大切なのは、どちらが優れているという話ではなく、役割が違うということです。データマイニングで見つけたパターンは、あくまで「発見の候補」。それが偶然ではないか、ほかのデータでも成り立つかを確かめる段階では、仮説検証型の統計が再び活躍します。探索で仮説を生み、検証で確かめる——2つの型は車の両輪なのです。

代表的なタスクと手法——分類・クラスタリング・関連・予測

データマイニングの手法はたくさんありますが、初学者のうちは「何をしたいか(タスク)」で4つに整理して覚えるのがおすすめです。

分類——決定木でルールを見つける

決定木とは、データを「はい/いいえ」の質問で枝分かれさせながら、結果を予測するルールを木の形で表す手法です。たとえば「資格試験に合格する学生・しない学生」を分ける規則を探すと、次のような木が得られます。

週の勉強時間 10時間以上? いいえ はい 過去問を解いた? 合格率 82% いいえ はい 合格率 23% 合格率 58% 条件の分かれ目が「目に見えるルール」になるので、結果の理由を説明しやすい
図1:決定木のイメージ。「どの条件で結果が分かれるか」が木の形で表されるため、初学者にも結果を読み解きやすい。

決定木の魅力は、なんといっても結果が読めることです。「週10時間以上勉強していて、かつ過去問を解いた人の合格率が高い」のように、分かれ目の条件がそのまま言葉で説明できます。複雑な数式のモデルに比べて、レポートや発表で説得力を持たせやすい手法です。

クラスタリング——似たもの同士をグループに分ける

クラスタリングとは、似た特徴を持つデータ同士を自動的にグループ(クラスター)に分ける手法です。たとえば、学習スタイルに関するアンケートの回答から、「コツコツ計画型」「直前集中型」「仲間と一緒型」のような学生のタイプが浮かび上がる、といった使い方をします。分類(決定木)と違って「正解ラベル」を必要とせず、データの構造そのものからグループを見つけ出すのが特徴です。

関連の発見——アソシエーション分析

アソシエーション分析とは、「Aが起こるとき、Bも一緒に起こりやすい」という組み合わせの規則を見つける手法です。冒頭のオンライン書店の例がまさにこれで、購買履歴から「統計学の入門書を買う人は、研究法の本も一緒に買いやすい」といった規則を抽出できます。履修データから「一緒に取られやすい科目」を見つける、というのも同じ発想です。見つかった規則は、おすすめ表示や品ぞろえ、履修案内の改善のような、次の工夫につなげられます。

予測——将来の値を見積もる

過去のデータからモデルを作り、まだ結果のわかっていないデータについて将来の値や起こりやすさを見積もるタスクです。回帰分析やロジスティック回帰といった統計の手法も、ニューラルネットワークのような機械学習の手法も、ここでは同じ「予測」の道具として使われます。データマイニングが伝統的な統計と地続きであることが、よくわかるところです。

ここがポイント
手法の名前を暗記するより、「分類したいのか、グループ分けしたいのか、組み合わせを見つけたいのか、予測したいのか」というタスクから考えると、使うべき手法は自然に絞れます。

機械学習との関係——重なりと違い

データマイニングを学び始めると、必ず出会うのが「機械学習と何が違うの?」という疑問です。実は、この2つの言葉はかなり重なり合っていて、使われ方も時代とともに変わってきました。私なりに整理すると、次のようになります。

  • データマイニングは「目的」に重心のある言葉。データから役に立つパターンや知見を見つけ出すこと自体を指します。
  • 機械学習は「技術」に重心のある言葉。データからコンピュータが自動的に規則を学習する仕組み(アルゴリズム)を指します。

つまり、機械学習はデータマイニングという目的を支える主要な道具立てです。決定木もクラスタリングも、機械学習のアルゴリズムとして説明されることがあれば、データマイニングの手法として説明されることもあります。同じものを「目的の側」から呼ぶか「技術の側」から呼ぶかの違い、と考えるとすっきりします。

初学者の方は、言葉の線引きに悩むより、「どちらの教科書にも同じ手法が出てくるのは、重なり合う分野だから」と理解しておけば十分です。

過学習——「覚えすぎ」の落とし穴

過学習とは、モデルが手元のデータに合わせすぎてしまい、新しいデータではうまく当たらなくなる現象です。データマイニングでいちばん怖い落とし穴なので、しっかり説明させてください。

試験勉強にたとえるとわかりやすいと思います。過去問の答えを「丸暗記」した人は、過去問とまったく同じ問題なら満点を取れます。しかし、少し形を変えた新しい問題には対応できませんよね。一方、解き方の「考え方」を身につけた人は、新しい問題にも対応できます。過学習とは、モデルが「丸暗記」状態になってしまうことなのです。

困ったことに、過学習したモデルほど、手元のデータでの成績は良く見えます。複雑なモデルを作るほど、手元のデータへの当てはまりはどこまでも上げられるからです。そこでデータマイニングでは、データをあらかじめ2つに分けておく方法が標準的に使われます。

  • 訓練データ:モデルを作る(学習させる)ために使うデータ
  • 検証データ:作ったモデルの実力を測るために、学習には使わず取っておくデータ

訓練データでの成績がどれだけ良くても、検証データでの成績が悪ければ、そのモデルは丸暗記をしているだけ、と判断できます。モデルの評価は必ず「学習に使っていないデータ」で行う——これがデータマイニングの鉄則です。

ここがポイント
「手元のデータで精度99%」は、喜ぶ場面ではなくまず疑う場面です。検証データでも同じくらいの精度が出て、はじめて信頼できるモデルといえます。

データマイニングの進め方【4ステップ】

データマイニングの進め方には、CRISP-DM(クリスプ・ディーエム:CRoss-Industry Standard Process for Data Mining)と呼ばれる業界標準のプロセスモデルがあります。1990年代後半に、SPSS Modelerの前身「Clementine」を開発したISL社を含む企業コンソーシアムが策定したもので、業種を問わず使える「データマイニングの進め方の地図」として、現在も広く参照されています。

CRISP-DMの6つのフェーズ

フェーズ何をするか本ページの4ステップとの対応
1. ビジネス理解目的・ゴール・成功の基準を決めるステップ1
2. データ理解データを収集し、中身と品質を把握するステップ1〜2
3. データ準備欠損の処理・整形・結合など、分析できる形に整えるステップ2
4. モデリングタスクに合った手法を選び、モデルを作るステップ3
5. 評価結果が目的に照らして使えるかを確かめるステップ4
6. 展開結果を現場の運用や意思決定に組み込む(活用・次のサイクルへ)

大切なのは、この6つのフェーズが一方通行ではなく循環型だという点です。データを理解してみたら目的を立て直す、評価の結果を受けてデータ準備からやり直す——そうした行き来を繰り返しながら精度を高めていくことが、最初から想定されています。なお、後述するIBM SPSS Modelerには、このCRISP-DMに沿ってプロジェクトを整理する機能が組み込まれています。

ここでは、このCRISP-DMの考え方を初学者向けに4つのステップへぎゅっと凝縮して紹介します。研究データの分析なら、「ビジネス理解」は「研究目的の明確化」と読み替えてください。

ステップ1:目的を整理する

「何を見つけたいのか」「見つかった規則を何に使うのか」を先に言葉にします(例:履修データから科目の組み合わせの傾向を見つけ、履修案内の改善に活かす)。探索型の分析こそ、目的があいまいだと「おもしろいけれど使い道のない発見」ばかりが積み上がります。ここで分析のゴールと評価の基準を決めておきます。

ステップ2:データを準備する

データを集めて、分析できる形に整えます。欠損値(空欄)の処理、明らかな入力ミスの修正、変数の形式の統一などを行い、必要なら複数のデータを結合します。地味ですが、実際の分析プロジェクトでは全体の半分以上の時間がこのステップに費やされる、と言われるほど重要な工程です。

ステップ3:モデルを作る

タスク(分類・クラスタリング・関連・予測)に合った手法を選び、モデルを作ります。分類や予測の場合は、データを訓練データと検証データに分けてから学習させます。最初から1つの手法に決め打ちせず、複数の手法を試して比べるのが一般的です。

ステップ4:評価して解釈する

検証データでモデルの実力を確かめ、見つかったパターンが目的に照らして意味を持つかを吟味します。偶然の規則や、当たり前すぎる規則(「3年生は3年生向け科目を履修しやすい」など)が混ざっていないかも確認します。価値のある発見は、仮説として別のデータや研究デザインで確かめる次のサイクルへつなげます。

データマイニングを行うツール

データマイニングは、Pythonなどのプログラミング言語で行うこともできますが、初学者や、分析そのものに集中したい研究者・学生には、GUIで操作できる専用ツールという選択肢があります。

当社が取り扱うIBM SPSS Modelerは、データの読み込みから前処理・モデル作成・評価までの流れを、アイコンを線でつなぐ「ストリーム」として組み立てられるデータマイニングツールです。決定木・クラスタリング・アソシエーション分析・ニューラルネットワークなど代表的な手法をプログラミングなしで実行でき、このページで説明した「訓練データと検証データの分割」や「複数モデルの比較」も画面上の操作で行えます。分析の手順がフローとして目に見える形で残るので、卒業研究などで「何をどの順番でやったか」を説明しやすいのも、教育の場面でうれしい特徴です。

手法選びに迷ったら
「分類・クラスタリング・関連のどれを使う?」——決定木・クラスター分析・相関分析など、個別手法の考え方は分析手法ガイドで解説しています。
分析手法ガイド一覧へ →

データマイニングと関連の深い分析手法・ページを以下にまとめます。あわせてご活用ください。

つまずきやすいポイントと注意点

データマイニングでつまずきやすいポイントを、ここで整理しておきます。

1. 見つかったパターンを、そのまま「事実」として結論にする。探索型の分析で見つかった規則性は、まだ「発見の候補」です。偶然の産物かもしれませんし、別のデータでは成り立たないかもしれません。重要な発見ほど、検証データでの確認や、仮説検証型の統計による追試で裏づけましょう。

2. パターンの発見を、因果関係と混同する。「AとBが一緒に起こりやすい」ことは、「AがBの原因である」ことを意味しません。一緒に買われやすい2冊の本は、どちらかがどちらかの原因なのではなく、同じ授業の課題図書なのかもしれません。

3. 手元のデータでの精度だけを信じる(過学習)。訓練データでの精度がどれだけ高くても、検証データで確かめるまでは実力はわかりません。データを分けずに精度を報告するのは避けましょう。

4. データの質を確認せずにモデルを作る。欠損や入力ミスだらけのデータからは、どんな高度な手法でも信頼できるパターンは出てきません。「ゴミを入れればゴミが出る」は、データマイニングの世界の合言葉です。

5. 当たり前の規則に時間を使う。探索的な分析では、「3年生は3年生向けの科目を取りやすい」のような自明な規則も大量に見つかります。目的(ステップ1)に照らして、意味のある発見だけを拾い上げる目を持ちましょう。

よくある質問

Q統計学とデータマイニングは何が違うのですか?
出発点が違います。伝統的な統計学は先に仮説を立て、それをデータで確かめる仮説検証型です。データマイニングは、すでにある大量のデータから規則性やパターンを探す探索型です。役割が異なるため対立するものではなく、探索で見つけた仮説を統計的な検証で確かめる、という形で補い合います。
Q機械学習とデータマイニングはどう違うのですか?
データマイニングは「データから役立つパターンを見つける」という目的に重心のある言葉で、機械学習は「データから自動的に規則を学習する技術」に重心のある言葉です。決定木やクラスタリングのように、両方の分野で扱われる手法も多く、重なり合う関係にあります。
Qデータマイニングにはどんな手法がありますか?
目的別に、分類(決定木など)、クラスタリング(似たもの同士のグループ分け)、関連の発見(アソシエーション分析)、予測(回帰やニューラルネットワークなど)の4つのタスクに整理できます。何をしたいかを先に決めると、使うべき手法が絞りやすくなります。
Q決定木とは何ですか?
決定木とは、データを「はい/いいえ」の条件で枝分かれさせながら、結果を予測するルールを木の形で表す手法です。どの条件で結果が分かれるかが目に見える形になるため、分析に慣れていない人にも結果を説明しやすいのが大きな特徴です。
Q過学習とは何ですか?
過学習とは、モデルが手元のデータに合わせすぎて、新しいデータではうまく当たらなくなる現象です。過去問の丸暗記に似ています。これを防ぐため、データを訓練データと検証データに分け、学習に使っていない検証データでモデルの実力を評価するのが標準的な方法です。
Qどれくらいのデータ量が必要ですか?
手法と目的によりますが、訓練データと検証データに分けても傾向が安定して見える量が一つの目安で、一般には数百件以上あると扱いやすくなります。量と同じくらい質も重要で、欠損や入力ミスの多いデータからは信頼できるパターンは見つかりません。
Qデータマイニングに専門のソフトは必要ですか?
Pythonなどでプログラミングして行う方法と、GUIの専用ツールを使う方法があります。プログラミングの学習負担なく分析に集中したい場合は、IBM SPSS Modelerのように、アイコンをつなぐ操作で前処理からモデル作成・評価まで行える専用ツールが向いています。
QCRISP-DMとは何ですか?
データマイニングの進め方を「ビジネス理解→データ理解→データ準備→モデリング→評価→展開」の6つのフェーズに整理した、業界標準のプロセスモデルです。フェーズの間を行き来しながら進める循環型である点が特徴で、本ページで紹介した4ステップは、このCRISP-DMを初学者向けに凝縮したものです。
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