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二乗(x²)とは?「同じ数を2回かける」を、図解でやさしく

教科書の右上にちょこんと乗った、小さな「²」。この字を見たとたん、そっとページを閉じたくなる……そんな経験、ありませんか。心配いりません。二乗は「同じ数を2回かける」という、たったひとつの約束ごとです。この記事では、テストの点数や正方形といった身近な例だけを使って、記号への不安をゆっくりほどいていきますね。

執筆:畠 慎一郎(スマート・アナリティクス株式会社)

その小さな「²」の正体

まず、いちばん大事なことをお伝えします。「x²(エックスの二乗)」は、xを2回かけ算するという意味です。それ以上でも、それ以下でもありません。右肩に小さく乗っている「2」は、「この数を2回かけてね」という合図なんですね。

身長や歩数がいろいろな値をとるように、数もいろいろな姿に変わります。二乗は、その変身のいちばんやさしい入口です。読み終わるころには、「なんだ、そういうことか」と肩の力が抜けているはずですよ。

ことばメモ 「二乗」は「2乗」と書いても同じ意味です。数学では「平方(へいほう)」とも呼びます。じつは正方形(英語で square)と同じ言葉なんですね。この理由は、あとで正方形の絵を見るとストンと納得できますよ。

二乗は「同じ数を2回かける」だけ

さっそく、数字を入れてみましょう。3の二乗は、3を2回かけます。

3² = 3 × 3 = 9
読み方:3の二乗は、3を2回かけて9。

答えは9です。同じように、5の二乗なら5を2回かけて……

5² = 5 × 5 = 25
読み方:5の二乗は、5を2回かけて25。

25になりますね。文字で書くときも考え方はまったく同じで、xを2回かけるだけです。

x² = x × x
読み方:エックスの二乗は、xを2回かける。

ここで一度、1から6までの二乗を表で並べてみます。「同じ数を2回かけると、どう増えていくかな」と、のんびりながめてみてください。

数(x)計算二乗(x²)
11 × 11
22 × 24
33 × 39
44 × 416
55 × 525
66 × 636

数が1つ増えるごとに、二乗の値がぐっと大きくなっていくのが分かります。この「増え方の勢い」も、二乗のもち味のひとつなんですね。

なぜ「二乗」と呼ぶの?──正方形の面積で見る

「なぜ2回かけると『乗』なんだろう」と思ったら、正方形を思い浮かべてください。一辺の長さが3のマス目を考えます。たてに3、よこに3。マスの数は……そう、3×3で9個です。

よこ 3たて3123456789一辺が3の正方形は、3 × 3 = 9 マスこれが 3²(3の二乗)です。
図1:二乗は「正方形の面積」。一辺3の正方形は小さなマスが9個ぶんで、3² = 9。

この「一辺 × 一辺」で面積を出す形が、まさに二乗です。だから3²は「一辺3の正方形の面積」と同じ。「平方メートル(m²)」に²がついているのも、これが理由なんですね。数式が急に、目に見える面積として立ち上がってきませんか。

マイナスの二乗は、プラスになる

ここは少しだけ注意が必要な場所です。でも、ゆっくりいきましょう。マイナスの数を二乗すると、答えはプラスになります。たとえば −3 の二乗は、

(−3)² = (−3) × (−3) = 9
読み方:マイナス3の二乗は、マイナス3を2回かけて9。3²と同じ答えです。

となって、9です。3²とまったく同じ答えですね。ふしぎに感じるかもしれませんが、「マイナス × マイナス = プラス」というかけ算のルールがあるからです。マイナスが2つ出会うと、打ち消し合ってプラスに変わる、とイメージしてください。

プラスの3を2回かけるマイナスの3を2回かける3 × 3 = 9(−3) × (−3) = 9答えはどちらも 9(マイナスは消える)
図2:マイナス × マイナス = プラス。だから (−3)² も 3² と同じ 9 になる。
ことばメモ 「マイナス × マイナス = プラス」。この一行だけ覚えておけば十分です。二乗は同じ数を2回かけるので、もとがプラスでもマイナスでも、答えはかならずプラス(または0)になります。

統計では「偏差の二乗」で登場します

いよいよ、統計との出会いです。統計では、二乗が「偏差(へんさ)の二乗」という形で顔を出します。偏差とは、各データが平均からどれだけ離れているか、を表す数のこと。まずは引き算で求めます。

偏差 = データ − 平均
読み方:偏差は「そのデータの値」から「平均」を引いたもの。
ことばメモ 「偏差」は、平均を基準にした「ずれ」の大きさです。平均より上ならプラス、下ならマイナスになります。

では、いっしょに手を動かしてみましょう。3人のテストの点数が 60点・70点・80点 だったとします。まず平均は、(60+70+80)÷3 で70点。ここから各点数の偏差(点数−70)を出すと、こうなります。

点数偏差(点数 − 70)偏差の二乗
60−10100
7000
80+10100
合計0200

お気づきでしょうか。偏差をそのまま足すと、−10 + 0 + 10 で、きれいに0になってしまいます。これではデータのちらばり具合が伝わりません。そこで登場するのが二乗です。それぞれの偏差を二乗すると、マイナスが消えます。

(60 − 70)² = (−10)² = 100
読み方:60から平均70を引くとマイナス10。それを二乗して100(マイナスが消える)。

二乗した値(100・0・100)は、もうマイナスになりません。これなら足し合わせても0で消えず、「データがどれくらいちらばっているか」をきちんと測れます。この偏差の二乗をならしたものが分散、そのルート(平方根)をとったものが標準偏差です。二乗は、そのいちばん奥の土台になっているんですね。

統計での二乗の使いみち① データ60, 70, 80② 平均を引く偏差 −10, 0, +10③ 二乗する100, 0, 100④ ならす→ 分散へ③で二乗するとマイナスが消えて、ちらばりを足し合わせられます。
図3:偏差 → 二乗 → ならす、の流れ。二乗が分散・標準偏差の土台になる。

χ²(カイ二乗)は、二乗とは別ものです

統計を学びはじめると「χ²(カイ二乗)」という言葉に出会うことがあります。見た目に²がついているので「二乗の仲間かな?」と思いがちですが、これはちょっと注意です。χ²は「カイ二乗検定」という分析手法の名前で、ここまで見てきた「同じ数を2回かける二乗」とは別ものなんですね。

ことばメモ 「χ」はギリシャ文字の「カイ」で、数のxではありません。χ²は手法の呼び名なので、いまは「名前が似ているだけの別もの」とだけ覚えておけば大丈夫です。

二乗の逆は「平方根(√)」

おまけに、もうひとつ。「二乗すると9になる数はなんだろう?」と逆から考えると、それが「平方根(√)」です。3²=9 の逆で、

9 = 3
読み方:ルート9は3。二乗すると9になる数は3、ということ。

√9=3。二乗と平方根は、行きと帰りの関係なんですね。平方根(√)については、別の回でゆっくり解説しています。

まとめ

  • 二乗(x²)は「同じ数を2回かける」こと。3²=9、5²=25。
  • 「一辺 × 一辺 = 面積」なので、二乗は正方形の面積とぴったり重なる。
  • マイナスの数を二乗するとプラスになる。(−3)²=9。
  • 統計では「偏差の二乗」として登場し、分散・標準偏差の土台になる。
  • χ²(カイ二乗)は名前が似ているだけの別もの。あわてなくて大丈夫。

よくある質問(FAQ)

「二乗」と「2乗」は違いますか?
同じ意味です。書き方が違うだけで、どちらも「同じ数を2回かける」ことを指します。「平方(へいほう)」という呼び方も、同じ意味です。
マイナスの数の二乗はどうなりますか?
プラスになります。たとえば (−3)² は (−3)×(−3) で9です。マイナス × マイナス はプラスになるので、二乗の答えはかならずプラス(または0)になります。
x²と2xは同じですか?
違います。x²は「xを2回かける(x×x)」、2xは「xを2倍する(x+x)」です。たとえばxが3のとき、x²=9ですが、2x=6になります。混同しやすいので注意してください。
統計でわざわざ二乗するのはなぜですか?
偏差(平均からのずれ)をそのまま足すと、プラスとマイナスが打ち消し合って0になってしまうからです。二乗してマイナスを消すことで、ちらばりの大きさを足し合わせて測れるようになります。これが分散・標準偏差の考え方です。
χ²(カイ二乗)は二乗の一種ですか?
別ものです。χはギリシャ文字の「カイ」で、χ²は「カイ二乗検定」という手法の名前です。数を2回かける二乗とは意味が異なるので、名前が似ているだけ、と考えてください。
次の一歩におすすめ

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二乗(x²)電卓

数を入れると二乗(同じ数を2回かけた値)を出します。

執筆:畠 慎一郎
スマート・アナリティクス株式会社 代表。SPSS、日本IBM、セールスフォースを経て現職。統計解析ソフトの現場に20年あまり関わり、総務省統計局の研修講師も務める。著書3冊。「むずかしい統計を、はじめての人にもやさしく」をモットーに執筆しています。