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平均の求め方と「データを記号で書く」(xᵢ・n・x̄)

「x̄ =(1÷n)×Σxᵢ」——こんな式を見ると、思わず本を閉じたくなりますよね。でも、心配いりません。これは小学校で習った「平均=合計÷個数」を、記号で短く書き直しただけなんです。この記事では、記号ひとつひとつの意味を、テストの点数や身長・歩数といった身近な例でゆっくりほどいていきます。読み終えるころには、あの式がもう“こわくないもの”に変わっているはずです。

執筆:畠 慎一郎(スマート・アナリティクス株式会社)

平均は、もう知っていますよね

テストの点数、今日の気温、毎日の歩数……。「平均」ということばは、毎日どこかで耳にしますよね。そして、その計算のしかたも、実はもうご存じのはずです。全部を足して、個数で割る。たったそれだけです。

平均 = 合計 ÷ 個数
全部を合計して、データの個数で割ると平均になります。

たとえば、3回のテストが80点・90点・100点だったとしましょう。合計は 80+90+100=270点。これを回数の3で割ると、こうなります。

(80 + 90 + 100) ÷ 3 = 90
3回のテストの合計270点を、回数の3で割って、平均は90点です。

ね、むずかしくないですよね。この「合計÷個数」という考え方は、この先どんなに記号が増えても、最後まで変わりません。まずはここだけ、しっかり握っておいてください。

では、なぜ記号が出てくるの?

多くの人がつまずくのは、教科書に出てくる x̄ =(1÷n)×Σxᵢ のような式です。数字の代わりにアルファベットやギリシャ文字が並ぶと、急に別世界の話に見えてしまいますよね。

でも、記号は意地悪をするために生まれたわけではありません。むしろ逆で、「どんなデータにも通じる書き方」をするための、便利な“略記(りゃっき)”なんです。「テストが3回のときは…、5回のときは…、100回のときは…」と毎回書き分けるのは大変ですよね。そこで「データがいくつあっても大丈夫なように、数字を記号に置きかえておこう」というのが、記号の正体です。

ことばメモ 記号は“暗号”ではなく“略記(りゃっき)”です。長い説明をギュッと短くまとめ、だれが見ても同じ意味になるようにした共通ルール、それが数式の記号です。

データを記号で書く —— xᵢ と n

まずは、手元のデータに名前をつけましょう。1番目の数を x₁、2番目を x₂、3番目を x₃……と呼びます。x の右下にある小さな数字が、「何番目か」を表しています。

点数80点90点100点記号x₁x₂x₃1番目2番目3番目n = 3データの個数
図1:手元の点数(データ)に x₁・x₂・x₃ …… と名前をつける。個数は n で表す(ここでは n=3)。

この「番号」の部分を、i という文字で代表させたものが xᵢ です。i には1でも2でも、好きな番号が入ります。「i番目のデータ」という意味ですね。データがいくつあるか分からないときでも、xᵢ と書いておけば「どのデータのことも指せる」ので便利なんです。

ことばメモ 添字(そえじ)…xᵢ の右下にある小さな i のこと。「何番目のデータか」を指す“番地”のようなものです。x₁ なら1番目、x₂ なら2番目を表します。

そして、データが全部でいくつあるかを n と書きます。テストが3回なら n=3、身長を10人分あつめたなら n=10 です。「エヌ」と読み、データの個数を表します。

平均そのものの記号 x̄(エックスバー)

平均にも、専用の記号があります。それが x̄ です。x の上に短い横棒(バー)を乗せた形で、「エックスバー」と読みます。

このバーは、「この x たちを平均したものですよ」という合図です。身長のデータなら x̄ は「平均身長」、点数のデータなら「平均点」を指します。文字の上に棒が乗っていたら“平均のサイン”、と覚えておけば大丈夫です。

ことばメモ x̄(エックスバー)…文字の上のバー(横棒)は「平均」の目印。x のバーだから“x たちの平均”という意味になります。
8090100x̄ = 90(平均)1回目2回目3回目
図2:平均は、でこぼこのデータを「ならした高さ」。赤い線が平均(x̄=90)です。

Σ(シグマ)で「合計」を書く

残るは、合計の書き方です。「x₁+x₂+…+xₙ」と最後まで書くのは骨が折れますよね。そこで登場するのが Σ(シグマ)です。Σ は「ぜんぶ足しなさい」という指示の記号で、Σxᵢ と書けば「xᵢ を全部足した合計」を意味します。

Σni=1xᵢ = x₁ + x₂ + … + xₙ
i を1から n まで動かしながら xᵢ を順に足していく、という意味。つまり“合計”のことです。

Σ の上下についた小さな文字は、「i を1から始めて、n まで足してね」という“足す範囲”の指定です。ここは少し慣れが必要なので、上下の数字の読み方は別記事でゆっくり解説しています。いまは「Σ=ぜんぶ足す合図」とだけ分かっていれば十分です。

ことばメモ Σ(シグマ)…ギリシャ文字の大文字で、英語の S(Sum=合計)にあたります。「足し算をまとめて書く記号」と覚えておけば十分です。なお、ギリシャ文字だけをあつめた記事もあります。

全部つなげると、あの式になる

道具がそろいました。さっきの「平均=合計÷個数」を、記号で書き直してみましょう。合計は Σxᵢ、個数は n でしたね。当てはめると、こうなります。

x̄ = Σxᵢ ÷ n
合計(Σxᵢ)を個数(n)で割ると、平均(x̄)になります。
平均合計Σxᵢ全部足す÷個数nデータの数
図3:x̄(平均)は、合計 Σxᵢ を個数 n で割ったもの。式の正体はこれだけです。

教科書では、これを次のように書くこともあります。中身はまったく同じです。

x̄ = (1 ÷ n) ×Σni=1xᵢ
「n で割る」を「n分の1をかける」と言いかえた形。意味は Σxᵢ ÷ n と同じです。

「n で割る」ことを「n分の1をかける」と言いかえただけなので、意味は上の式と変わりません。(かっこの中を先に計算する“計算の順序”については、別記事でくわしく解説しています。)最初は暗号に見えたこの式も、こうして分解すれば「合計を個数で割る」と言っているだけだと分かりますよね。ここまでに出てきた記号を、いちど表にまとめておきましょう。

記号読み方意味
xᵢエックス・アイi番目のデータ
x₁, x₂, …, xₙエックスいち、エックスに…1番目、2番目…n番目のデータ
nエヌデータの個数
Σxᵢシグマ・エックス・アイxᵢ を全部足した合計
エックスバー平均

記号を使って、一度だけ手を動かしてみよう

仕上げに、記号を使って自分で計算してみましょう。ある人の3日間の歩数が、8,000歩・9,000歩・10,000歩だったとします。まず、記号に置きかえます。

  • データの個数:n = 3(3日分)
  • 1日目 x₁ = 8000、2日目 x₂ = 9000、3日目 x₃ = 10000

次に、合計 Σxᵢ を出します。

Σxᵢ = 8000 + 9000 + 10000 = 27000
3日分の歩数を全部足すと、合計27000歩です。

最後に、これを個数 n=3 で割ります。

x̄ = 27000 ÷ 3 = 9000
合計27000歩を3日で割って、平均は1日あたり9000歩です。

できましたね。記号にすると難しそうに見えても、やっていることは小学校の平均とまったく同じ。合計を出して、個数で割る。ただ、それだけなんです。

まとめ

  • 平均は「合計 ÷ 個数」。この考え方は、記号になっても最後まで変わりません。
  • xᵢ は「i番目のデータ」、n は「データの個数」、x̄ は「平均」を表す記号です。
  • Σ(シグマ)は「ぜんぶ足す」という合図。Σxᵢ は“合計”のことです。
  • だから x̄ = Σxᵢ ÷ n は、「合計を個数で割る」と言っているだけ。
  • 記号は暗号ではなく、どんなデータにも使える便利な“略記”です。こわがらなくて大丈夫。

よくある質問(FAQ)

x̄ は何と読みますか?
「エックスバー」と読みます。x の上の横棒(バー)は「平均」を表す目印で、x̄ は「x たちの平均」という意味になります。身長のデータなら平均身長、点数のデータなら平均点、というように使います。
xᵢ の小さな i は何を表していますか?
x の右下にある小さな文字は「添字(そえじ)」と呼ばれ、「何番目のデータか」を表します。i には1でも2でも好きな番号が入り、xᵢ は「i番目のデータ」という意味です。1番目なら x₁、2番目なら x₂ と書きます。
n と Σ は、どう違うのですか?
n は「データの個数」を表す数で、テストが3回なら n=3 です。一方 Σ(シグマ)は「ぜんぶ足しなさい」という合図の記号で、Σxᵢ と書けば全部の合計を指します。個数が n、合計が Σxᵢ、と役割がはっきり分かれています。
x̄ =(1÷n)×Σxᵢ と x̄ = Σxᵢ ÷ n は、違う式ですか?
いいえ、まったく同じ意味です。「n で割る」ことと「n分の1をかける」ことは同じなので、書き方が違うだけで結果は変わりません。どちらも「合計を個数で割る」と言っています。
平均を出すとき、データの順番は関係ありますか?
関係ありません。足し算は順番を入れかえても答えが同じなので、x₁ から順に足しても、バラバラの順で足しても、合計は変わらず平均も同じになります。添字の番号は「区別のための名札」で、順位を表すものではありません。
次の一歩におすすめ

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平均 電卓

数を入れると(カンマ区切り)、平均を出します。

執筆:畠 慎一郎
スマート・アナリティクス株式会社 代表。SPSS、日本IBM、セールスフォースを経て現職。統計解析ソフトの現場に20年あまり関わり、総務省統計局の研修講師も務める。著書3冊。「むずかしい統計を、はじめての人にもやさしく」をモットーに執筆しています。