はじめての方OK ・ 数式アレルギー歓迎

計算の順序:かっこ・かけ算わり算が先

「2 + 3 × 4」の答え、いくつになると思いますか。20だと思った方、とても自然な感覚です。でも正解は14なんです。実は計算には、みんなが同じ答えにたどり着くための「決まった順番」があります。心配いりません。覚えるのはたった3つ。この記事で、その3つをゆっくり見ていきましょう。

執筆:畠 慎一郎(スマート・アナリティクス株式会社)

同じ式なのに、答えが分かれる?

さっそくですが、さきほどの式をもう一度見てみましょう。「2 + 3 × 4」。左から素直に計算すると、2 + 3 = 5、そのあと 5 × 4 = 20。とても自然な計算ですよね。ところが、学校でも電卓でも、この式の答えは14と決まっています。「えっ、どうして?」と思いますよね。私も最初にこれを知ったときは、ちょっと納得がいきませんでした。

種明かしをすると、計算には「どこから手をつけるか」という世界共通のルールがあるんです。そのルールでは、たし算よりもかけ算を先に計算します。だから 3 × 4 = 12 を先にすませて、残りの 2 + 12 = 14。これが正解です。

2 + 3 × 4 = 14
3 × 4(かけ算)を先に計算して12。そのあと 2 + 12 で14になります。

このルールがあるおかげで、日本でもどこでも、鉛筆でも電卓でも、同じ式なら必ず同じ答えになります。もしルールがなかったら、人によって答えがバラバラになって、大混乱ですよね。

覚えるのはこの3つだけ

計算の順番は、たった3段階です。上にあるものほど「強い」——つまり先に計算する、と考えてください。強いものから順番に片づけていくイメージです。

順番やること具体例
1かっこ ( ) の中(2 + 3) → 5
2かけ算 × ・わり算 ÷3 × 4 → 12
3たし算 + ・ひき算 −2 + 12 → 14
ことばメモ 四則(しそく)とは、たし算・ひき算・かけ算・わり算の4つの計算をまとめた呼び方です。「四則計算」「四則演算」とも言います。
計算は、強い順に先に片づけます ① 最初にやる かっこ ( ) 中を先に計算 ② 次にやる × と ÷ 左から順に ③ 最後にやる + と − 左から順に
図1:計算の順序は3段階。強い(優先度の高い)ものから先に計算します。

ポイントは2つ。1つ目は「かっこがいちばん強い」こと。かっこの中は、何があっても最初に計算します。2つ目は「かけ算とわり算は同じ強さ」で、「たし算とひき算も同じ強さ」だということ。同じ強さのものが並んだときは、左から順に計算すればOKです。

ことばメモ 二乗(²)などの「累乗」は、じつはかっこの次に強い仲間です。つまり かっこ → 二乗 → かけ算・わり算 → たし算・ひき算 の順。ここでは深入りしませんが、分散の式などで出てきます(くわしくは「二乗(x²)とは?」の記事で)。

かっこは「わたしを先に」の合図

かっこ ( ) は、「この中を最初に計算してね」という合図です。さきほどの式にかっこを付けるだけで、答えがガラッと変わります。

(2 + 3) × 4 = 20
かっこの中の 2 + 3 = 5 を先に計算。そのあと 5 × 4 = 20 になります。

同じ数字、同じ記号なのに、かっこが付くだけで14が20に変わりました。かっこは、それくらい強い合図なんです。「ここだけは先に計算してほしい」というとき、私たちはかっこを使います。

かっこがあると、答えはこう変わる かっこ なし 2 + 3 × 4 3 × 4 を先に計算 = 14 かっこ あり (2 + 3) × 4 2 + 3 を先に計算 = 20
図2:数字も記号も同じなのに、かっこがあるだけで答えは14から20に変わります。
先に計算するところ答え
2 + 3 × 43 × 4(かけ算)14
(2 + 3) × 42 + 3(かっこ)20
10 − 6 ÷ 26 ÷ 2(わり算)7
(10 − 6) ÷ 210 − 6(かっこ)2

テストの平均点で、手を動かしてみましょう

ここまでの話が、統計とどうつながるのか。いちばん身近な「平均」で確かめてみましょう。3教科のテストで、国語80点、算数90点、理科70点をとったとします。平均点は「3つの点数を合計して、教科数の3でわる」ことで求められますよね。

ここで注意です。素直に「80 + 90 + 70 ÷ 3」と書いてしまうと、ルールにしたがってわり算が先に計算されます。つまり 70 ÷ 3 の部分だけが先に計算されてしまい、平均とはまったく違う数になってしまうんです。

80 + 90 + 70 ÷ 3
このままだと 70 ÷ 3 だけが先に計算され、平均とはかけ離れた約193という数になってしまいます。

3つ全部を合計してからわりたいので、合計の部分をかっこでくくります。こうすれば「かっこの中が先」のルールで、ちゃんと合計してからわってくれます。

(80 + 90 + 70) ÷ 3 = 80
かっこの中の 80 + 90 + 70 = 240 を先に計算。そのあと 240 ÷ 3 = 80。平均点は80点です。
長い式は、番号の順に読みます (80 + 90 + 70) ÷ 3 つぎの順で計算します 1 かっこの中を先に:80 + 90 + 70 = 240 2 つぎに、わり算:240 ÷ 3 = 80 平均点は 80 点
図3:長い式も、番号の順に一段ずつ計算すれば大丈夫。かっこの中→わり算の順です。

どうでしょう。かっこ1つで、答えが正しく80点になりました。平均の式で合計にかっこが付いているのは、こういう理由なんです。平均そのものについては、別の記事でくわしく扱っています。

統計の式も、同じ順番で読めます

統計に出てくる式は、記号が多くて一見こわく見えます。でも、やっていることは「計算の順序どおりに、一段ずつ読む」だけ。たとえばデータのばらつきを表す「分散」は、ざっくり次の順番で計算します。

  • まず平均を出す(かっこの中のように、先に計算しておく部分)。
  • 一つひとつのデータから、その平均をひく(この差を「偏差」と呼びます)。
  • その差を二乗する(マイナスを消して、ばらつきの大きさをそろえるため)。
  • 二乗した値を全部たす(このたし算のまとめが Σ・シグマ です)。
  • 最後に、データの個数でわる。

どうでしょう。上から下へ、順番に片づけていくだけですよね。ここで出てくる「Σ(シグマ)」はたし算をまとめる記号で、Σ(シグマ)の記事でやさしく説明しています。「二乗」や「√(ルート)」もそれぞれ役割があります。一気に理解しようとせず、記号を1つずつ知っていけば大丈夫。まずは「計算には順番がある」という土台があれば、長い式もこわくありません。

参考までに、平均の式を記号で書くとこうなります。記号は多く見えても、読む順番は同じです。

x̄ = (x₁ + x₂ + … + xₙ) ÷ n
x̄(エックスバー)は平均を表します。x₁ から xₙ までのデータを全部たして(かっこの中)、個数 n でわります。

まとめ

  • 計算には「かっこ → かけ算・わり算 → たし算・ひき算」という決まった順番がある。
  • だから 2 + 3 × 4 は20ではなく14。かけ算を先に計算するから。
  • かっこは「中を最初に計算してね」という強い合図。(2 + 3) × 4 なら20になる。
  • かけ算とわり算、たし算とひき算は同じ強さ。並んだときは左から順に計算する。
  • 平均や分散など統計の式も、この順番どおりに一段ずつ読めば迷わない。

よくある質問(FAQ)

なぜ 2 + 3 × 4 は20ではなく14なのですか?
かけ算をたし算より先に計算する、という世界共通のルールがあるからです。先に 3 × 4 = 12 を計算し、そのあと 2 + 12 = 14 となります。左から順に計算すると20になりますが、これは誤りです。
かっこがあるときは、どこから計算しますか?
かっこの中がいちばん先です。(2 + 3) × 4 なら、まず 2 + 3 = 5 を計算し、そのあと 5 × 4 = 20 になります。かっこは「ここを最初に」という合図だと考えてください。
かけ算とわり算では、どちらを先に計算しますか?
この2つは同じ強さなので、どちらが先ということはなく、左から順に計算します。たとえば 8 ÷ 2 × 3 は、左から 8 ÷ 2 = 4、つぎに 4 × 3 = 12 です。たし算とひき算も同じで、左から順に計算します。
二乗(²)はいつ計算しますか?
かっこの次、かけ算・わり算より前に計算します。順番はかっこ → 二乗(累乗)→ かけ算・わり算 → たし算・ひき算です。分散など統計の式で出てきます(くわしくは「二乗(x²)とは?」の記事で解説しています)。
計算の順序は、統計の勉強に本当に必要ですか?
とても大切です。平均・分散・標準偏差などの式は、いくつもの計算が組み合わさっています。順番を守らないと答えが変わってしまうため、式を正しく読むための土台になります。
次の一歩におすすめ

統計の学習やデータ分析でお困りのときは、スマート・アナリティクスのサポート担当までお気軽にご相談ください。

執筆:畠 慎一郎
スマート・アナリティクス株式会社 代表。SPSS、日本IBM、セールスフォースを経て現職。統計解析ソフトの現場に20年あまり関わり、総務省統計局の研修講師も務める。著書3冊。「むずかしい統計を、はじめての人にもやさしく」をモットーに執筆しています。