SPSS Statistics 29 新機能

統計解析ソフトウェアIBM SPSS Statisticsの最新バージョン「IBM SPSS Statistics 29」ではリッジ回帰やラッソ回帰、エラスティックネットなどの最新の回帰分析機能が追加されたほか、擬R2統計量、パラメトリック生存時間モデル:加速モデルが追加など大幅な機能拡張が行われています。

【新機能1】エラスティックネット
~Elastic Net~

昨今、AI技術などでもよく利用される回帰分析機能の一つであるエラスティックネットが実装されました。同時に実装されたリッジ回帰とラッソ回帰の良い点を統合し過学習にも対応した回帰モデルです。

【新機能2】リッジ回帰
~Ridge Regression~

Ridge(リッジ回帰は、大量の変数を用いた回帰分析を行う際に変数選択をした上で実行したい場合などに利用される手法です。変数選択においては、すべての変数を利用し影響度を計算することが可能です。正則化についてはL2正則化(学習した重みの二乗)を利用します。

【新機能3】ラッソ回帰
~Lasso Regression~

Lasso(ラッソ)回帰は、リッジ回帰と同じように正則化項を利用し重みを調整する回帰分析の一種です。リッジ回帰は重みがすべて0にならないのに対してラッソ回帰では重みが0とすることが可能です。そのため大量の変数がある場合の変数選択などに利用することが有効です。

【新機能4】
生存時間モデル:加速モデル
(AFTモデル)

生存時間分析において加速モデルの実行が可能になりました。比例ハザードモデルに代わる有用なモデルとして利用可能です。

そのほかのSPSS Statistics 29 新機能

擬R2統計量
(pseudo-R2 statistics)

擬R2統計値とクラス内相関係数(ICC)がGLMと混合モデルで出力されうようになりました。

シンタックスにて
新機能も利用可能に

今回追加された新しい各新機能もコマンドシンタックスで利用することんが可能です。

R/Pythonのバージョン対応

Python 3.10.4とR4.2.0が事前インストールされます。

未使用ケースの削除と非表示

v28に非表示と削除がされたケースの選択をしていないケースについて、データエディタでも表示するように変更しました。v27以前の仕様と同様の機能に戻ります。

バイオリンプロットグラフ

グラフボードテンプレート選択にバイオリンプロットが選択できるようになりました。

ワークブックモード機能拡張

2 つの新しいワークブック ツールバー項目が追加されました:すべての構文ウィンドウの表示/非表示 およびすべての出力のクリア。ステータス バーには、クラシック (出力および構文) モードとワークブック モードを切り替えるための新しいボタンもあります。