SPSS Statistics 32 の新機能

並べ替え検定(Permutation Test)

データの割り当てを並べ替えて、比較の基準となる分布をデータそのものから作る検定です。

SPSS Statistics 32 では、Extension Hub から追加できる拡張手続きとして並べ替え検定が加わりました。2群の t検定・分散分析・回帰を扱う STATS PERM と、独立2群の t検定に絞って細かく指定できる STATS_PERMTTEST の2種類があります。

Extension Hub から追加R プラグインで動作t検定・分散分析・回帰に対応

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IBM SPSS Statistics
並べ替え検定の出力イメージ
並べ替え検定の出力イメージ
要点

並べ替え検定の要点

要約

並べ替え検定は、群のラベルを無作為に並べ替えて統計量を何度も計算し、その分布の中で観測値がどれだけ極端かから p値を求める検定です。t分布や F分布への近似を使わずに p値を出せるため、小標本や分布の偏ったデータで t検定・分散分析の結果を確かめるときに役立ちます。

種別
拡張機能(R プラグイン)
対応バージョン
SPSS Statistics 32 以降
手続き
STATS PERM/STATS_PERMTTEST
向いている分析
小標本・非正規データの群間比較、回帰
概要

並べ替え検定でできること

並べ替え検定(順列検定、無作為化検定とも呼ばれます)は、帰無仮説が正しければ「どのデータがどの群に属するか」は入れ替えても結果が変わらない、という考え方にもとづく検定です。実際の割り当てで求めた統計量を、ラベルを並べ替えて作った分布と比べ、観測値以上に極端な結果が出る割合を p値とします。

SPSS Statistics 32 では、この検定を拡張手続きとして追加できます。汎用の STATS PERM は2群の t検定・分散分析・回帰に、STATS_PERMTTEST は独立2群の t検定(等分散/不等分散=Welch、片側/両側)に対応し、SPSS のダイアログから実行できます。

①②③ 観測値を計算するラベルを並べ替える分布の中で位置を見る A群B群 A群B群 平均差 d₀ 平均差 d* 実際の割り当てで統計量(平均差など)を求める 群のラベルだけを無作為に入れ替え、統計量を再計算。これを多数回くり返す d₀ 以上に極端な d* の割合が並べ替えにもとづく p値 d₀ 帰無仮説のもとでは群の割り当ては入れ替えても同じ、という考え方で、比較の基準となる分布をデータから作ります。

図1 並べ替え検定の手順

考え方

p値をデータの組み替えから求める

t検定や分散分析の p値は、正規分布を前提にした t分布・F分布への近似で計算されます。並べ替え検定は、同じ統計量の分布をラベルの並べ替えで作ります。

0 観測された平均差 d₀ −d₀ 並べ替えごとに計算した平均差 d* 度数 両側 p値 = |d*| ≥ |d₀| となった並べ替えの割合(赤枠の部分)

図2 並べ替え分布と両側 p値(模式図)

正規性の仮定に依存しない

p値の計算に理論分布を使わないため、分布が偏ったデータや外れ値を含むデータにも適用できます。

小標本でも使える

漸近近似の精度が気になるサンプルサイズでも、データから作った分布で p値を求められます。

検定の意味を説明しやすい

「偶然の割り当てなら、この差はどのくらいの頻度で出るか」を実際に試した結果として示せます。

並べ替え検定の前提は、帰無仮説のもとで観測値が群間で交換可能であることです。無作為割付の実験ではこの前提が自然に成り立ちます。群ごとに分散が大きく異なる場合の平均の比較では、Welch 型の統計量を使う設定を検討してください。並べ替えを無作為に抽出して行う場合、p値は推定値になり、並べ替えの回数を増やすほど安定します。

手続き

SPSS Statistics 32 の2つの並べ替え検定

分散分析や回帰まで扱うなら STATS PERM、独立2群の平均比較を細かく指定するなら STATS_PERMTTEST が選びやすい組み合わせです。独立2群の t検定は両方で実行できます。

項目STATS PERMSTATS_PERMTTEST
位置づけ並べ替え検定の汎用手続き独立サンプルの t検定に特化した手続き
対応する分析2群の t検定・分散分析・回帰2群の t検定(等分散/不等分散=Welch、片側/両側)
動作環境R プラグインを使う拡張手続きR プラグインを使う拡張手続き(Windows 向け)
メニュー分析 > 回帰 > 並べ替え検定分析 > 平均と比率の比較 > 独立サンプルの並べ替え t検定
使い方

導入から実行までの流れ

01

Extension Hub を開く

「拡張」メニューから「拡張ハブ(Extension Hub)」を開きます。

02

拡張をインストール

STATS PERM または STATS_PERMTTEST を名前で検索してインストールします。

03

変数と回数を指定

分析メニューから手続きを開き、分析する変数とグループ、並べ替えの回数などを設定します。

04

結果を確認

観測された統計量と、並べ替えにもとづく p値を出力で確認します。

拡張手続きは R プラグインで動作するため、初回の実行時に R パッケージを取得する場合があります。ネットワークに制限のある環境では、SPSS Statistics 32 で追加された CRAN ミラーの設定(spssprod.inf の CranURL キー)でパッケージの取得先を指定できます。

活用例

並べ替え検定が役立つ場面

医療・看護・心理の小規模研究

症例数の限られる臨床研究やパイロット調査で、正規性の確認がしにくいデータの群間比較に使えます。

品質管理・実験データ

外れ値を含みやすい工程データや少数ロットの比較実験で、t検定の結果を並べ替え検定で確かめられます。

マーケティングの A/B テスト

小規模で偏りのある A/B テストの結果を、理論分布に頼らない p値で確認できます。

違い

順位にもとづく検定との違い

Mann-Whitney の U検定などの順位にもとづく検定も、正規性を仮定しない点は共通しています。

観点並べ替え検定順位にもとづく検定(U検定など)
使うデータ実測値そのもの実測値を順位に変換した値
p値の求め方ラベルの並べ替えで統計量の分布を作る順位統計量の分布(大標本では正規近似)を使う
値の大きさの情報差の大きさをそのまま検定に使う順位化で差の大きさは順序の情報になる
計算量並べ替えの回数に応じて増える少ない

両者は併用できます。同じデータで両方の結果を見比べると、判断の根拠を補強できます。前提が満たされているデータでは、t検定や分散分析もそのまま有効です。

よくある質問

よくある質問

並べ替え検定はどのような場面で使いますか?

サンプルサイズが小さい、分布が正規分布から大きく外れている、外れ値の影響を確かめたい、といった場面が代表的です。t検定や分散分析の結果を裏づける目的でも使えます。

並べ替えの回数は何回くらいに設定しますか?

回数が多いほど p値の推定は安定します。数千回以上が目安とされることが多く、データの規模と求める精度に合わせて設定します。回数に応じて計算時間は長くなります。

STATS PERM と STATS_PERMTTEST はどう使い分けますか?

分散分析や回帰も含めて並べ替え検定を行うなら STATS PERM、独立2群の t検定を等分散・不等分散や片側・両側まで指定して行うなら STATS_PERMTTEST が適しています。独立2群の平均比較だけなら、どちらでも実行できます。

並べ替え検定を使えば、t検定や分散分析は使わなくてよいですか?

前提が満たされているデータでは t検定や分散分析も有効です。並べ替え検定は、前提に不安がある場面の選択肢として、また既存の検定結果を確かめる方法として使い分けるのが適切です。

拡張手続きのインストールは難しいですか?

拡張ハブで名前を検索してインストールする操作で導入できます。R プラグインを使うため初回に R パッケージの取得が発生します。社内ネットワークに制限がある場合は CRAN ミラーの設定をご利用ください。

専門スタッフが対応しますIBM SPSS 正規販売店。構成のご確認だけのご相談も承ります。

並べ替え検定のご相談

お使いのデータで並べ替え検定をどう設定するか、SPSS Statistics 32 への移行とあわせてご案内します。

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